卒業したらすぐにクラス全員で旅行に行かないか、と声をかけられた。
遊べる所か温泉か、泊まりか日帰りかも決まってないけど。
富士急とか行けたらいいね。
って……。

誰だ、富士急なんて案出したやつ。
まさかRさんか??
別れ話の時の会話を思いだす。
私「してけばよかった…って事といえば、富士急に行こうって付き合う前から言ってたのに行けなかった事だわ…行きたかったな…」
R「行けば良いじゃん。卒業してからでも皆でさ」
私「そういうもんじゃないでしょ」
R「?」
って会話をした。

私にとって富士急は、Rさんと一番行きたい場所なわけです。
行けなかった場所なんです。
そこを他の人と楽しんでるRさんを見るのが辛い。
せめてお化け屋敷だけは2人で入りたい…なんて、今でも思ってしまうの。
2人で入ろうって…15ヶ月前から言ってたのにさ。

やっと薄れてきて、会わなくなったら消えていくだけの想いなのに、頼むから考えさせないでよ。
万が一にでも一緒に入ったりしたら泣いてしまうわ。
でも自分から言うなんて出来ないし。

なんか、無性に思い出してしまって、涙が出てきた。
ちょっと遅れたけど、バレンタインの手作りお菓子を配ったんです。
1人甘いもの嫌いなYがいて、その人とRさん達が近くで話していた。
R「お前は本命からチョコ貰っても嫌な顔しそうだよな」
Y「そんな事ないし、嬉しいし」
私「今日人数分作ってきたけど、やっぱりあげない方が良いよね(義理だし)喜んで貰える人じゃなきゃあげたくないわ」
ってなわけで余った一個。

帰りの電車まですっかり忘れてました。
Rさんしかいないじゃないか。
なんかただの余り物なのに渡し難くて、たまたま持ってたから、「林檎いる?」なんて言ってみたりして、「いらない」と一蹴され、どうしよう…と思いながら、
「じゃあこれあげる」
と出してみる。
すると普通に手を出してきて「Yの分じゃん」
「忘れてたの」
「ふーん」
「…まずかった?」
「普通に美味しかったよ。あのパンケーキ何だったの?」
「…マドレーヌなつもりで作りましたが」
そうして二個あげてしまった。
本当はチョコケーキでも差し上げたいんですけどね、そんなあからさまな事やれないわ。
でもRさん甘いもの好きで良かった。
甘いものの思い出は沢山あるから余計かな。
電車の中は円満だったので満足です。


そして昨日、用事があって電話した。
勿論バイト中だろうから出るのなんて期待しちゃいない。
折り返し電話がきた。
あまり機嫌が良い声じゃなく聞こえる。
疲れたのだろうか。
明日の集合時間について聞けば、
「俺も知らないし、お前が事務所に連絡すればいいだろ」とか言われたけど、する気ない私。
まぁいっか。適当に行けば。とか思ってたわけです。
そして二時間後の21時にまた電話がきた。
「事務所に電話したら、明日は11時からはいれるって」
何だかんだ言って、やってくれるのね。
ツンデレか貴様!
私もそうだが!
「ありがと」
「あとあのよく分からないお菓子もありがとうございます」
「ちょ、お世辞くらい言いなさいよ」
な感じで終了。
皆に連絡してくれるらしいけど、一番に電話で知らせてくれたのね…。じ~ん。


それから二時間後の23時。
私から用事で電話した時。
「まだ連絡きてないんですが…」
「今打ってたんだよ」
「そっか…ごめん…」

結局きたの朝8時でした。
ルーズさは折り紙付きですね。
やっぱり電話は正解だったわ。
誰よりも先に教えられたっていう嬉しさ半減だけど。
自分でもそのルーズさを理解してるからこそ情報が必要な人に連絡したってわけね。
全くこの人は…。
多分寝落ちだ。
25時頃起こそうか悩んだけど、この時間じゃ朝でも変わりないなとやめたんです。

全く可愛らしいったらあらゃしない。
オーディション前確実にRさんの機嫌は悪かった。
少なくとも私にはキツく当たっていた。
間違いないと思う。
私はあんたの彼女でも母親でも姉でもないんだからねっ!

けど、終わった瞬間憑き物が落ちたように優しい。
私にも笑顔をくれる。
…こわっ。

つまり私が嫌われてたというよりも、Rさんの機嫌が悪かっただけ?
あぁめんどいっ

何故今でも、振り回されるわけ!?

数日前よりだいぶ吹っ切れたけど、
そりゃまだ嫉妬しますよ!?
でも、ちゃんと友達してよね!

…実はさー…
こないだの二次会で、確実にRさん狙いの先輩がいてさー…
Rさんが銀行に行くと言ったら「私も」で、飲み会で当然にずっと隣で、帰りも走り出したRさんに「あれ?R君、●●線じゃないの!?」
「すいません、始発に乗りたいので走ります!」
………はぁ。
そして私も焦って、「Rさん、今日バイトなの?って、置いてくなーっ!」とわめいてみる。
返事はない。
コノヤロー!
男友達らが「水樹、追いかけろ!」とかけしかけるわ、信号が点滅してるわで、飛び出してみました。
先生にちゃんと挨拶すれば良かった。
まぁオール明けなので許して。

駅まで追っかけたけど、途中で「何で追っかけてるんだ?」とか思ったし、Rさんにも「お前は走る必要ないじゃん」とか言われたので歩きだした。
遠くで、一度だけ振り返ってくれたので、もういいやって。
ホームで見つけてしまったけれど。

眠いと本能に従うから面白い。
普通だったら、皆がいるのに追っかけようなんて思わなかったろう。
そういう時、自分の本音を見つける。
オーディション終了。

同じものを昼夜やって、昼は大失敗、夜は成功。

昼に審査員の一人である講師から「構成崩れ」を指摘されたので、夜はかなり慎重に冷静でいました。
でも自分じゃ評価は付けようがないし付けるものじゃない。
かなり不安でした。
このオーディションは二年間頑張って勝ち取った切符なので、賭ける思いも二年分。
やるだけやろう。
笑顔で、楽しく。
できる、やれる、いける。
鏡で自分に言い聞かせて、舞台に立ちました。

打ち上げでは、静かに周りを見回していたのですが、酔えないね~。
講師の方にお話を伺いたくとも遠いって!

で、二次会があるから行くかと聞かれて、真っ先に行くと答えた。
ここ最近眠れてないので辛かったけど、聞くのは今しかない。
今度は講師の方の近くに座らせて頂けたので、真剣に問いました。

私は駄目出しが欲しい。
出来れば今後改善すべき場所を知りたい。
そう訴えた。
「自己アピール下手くそ」とは言われた。
確かに苦手。
「感性が良いからこのまま育ってくれ」
はあ…。
「ウケは狙ってないだろ?」
「全く狙ってませんね」
「それが良いんだよ。おいY!お前はだから駄目なんだよ、水樹は全くウケを狙ってないんだとよ」
それで良かったのか…。
私は基本真面目で笑い苦手なんです…。
でもそれじゃ勉強にならないじゃないか!と、粘ってみる。
「課題は自分で持ってくるものだけど、仕事は違うからな。
お前は地声が低い方だから、低音はマイクにポンっと音が乗るんだけど、高音がなぁ…」低音極めますかね…。

そして違う講師の方が後になって教えてくれた。
「私は毎年押す子は1人から3人なのよね、今年ははっきり言って不作の年だったわ、だから1人なの」
かなりきついですよ。
19分の1って!Σ
「上手い下手もあるけど、今年一年でどう育ってきたか、今後期待出来るか、舞台で光るオーラがあるかを見るの」
そんなやついたか?
とか思った時、
「だから私が押すのは貴女1人よ。これは内緒ね」
言われた瞬間ビックリし過ぎて泣いてしまった。
「最初声出てなかったのにね、一番伸びてたし。これは私だけじゃなく●●先生(さっきまで話してた講師)も同じよ」
「あの、私達の中ではRさんは受かるだろうとか言われてるんですけど、」
「私も最初はそう思ってた。R君はね芝居は上手いよ、でも最近停滞していて下降気味なの、将来性を感じないのよ。」


そういう話を聞いて、生まれ変われた気がする。
Rさんていう支えが無くても、自分っていう支えがあるじゃないか。
初めてそう思った。
あの人を見返せる。
あの人でなく私がいる。
それが本当に嬉しかった。
ずっと劣等感があって、下だという自覚に苛まれて、羨んでいた。
けど、もう終わりに出来る。
私は褒められて伸びる子です。
まだまだいける。
だってまだ二十歳ですもの。
Rさんより7つも下ですとも。
この一年で、一番嬉しい言葉を頂いた。
あの先生、苦手意識あったけど、余裕が出来たらその先生の仕事を見ようと思った。

あと二週間、精一杯頑張ります。
スノースマイル…
スノースマイル…

昨夜無性に聴きたくなった。

Rさんとの思い出の曲。

一年前の寒い冬の日。
手を繋いだ手を右ポケットに入れて無言で歩いていたら、彼がふと言う。
「何だかスノースマイルを思い出してた」
そして、
「本当!?私も同じ曲思い出してた」
嬉しくて笑顔になって、また相手も笑顔になる。
そんな穏やかな時間が好きだった。

この間、作業中にRさんがかけたこの曲が入ったCD、失敗した…とか思ったら良いな。
何も思い出されずは寂しいから。
あぁ、あの日、あいつと手を繋いで、あんな話をした。くらいは思って欲しいものです。




君のいない道を。