~side悠太~
結局・・・何も変わらない。
せっかく会えた好きな人と話すこともできずに、こうして菜穂と歩いている。
これでいいのだろうか。
割り切ったはずなのに、綾音に会ってしまったためにまたそんなことを考えはじめる。
菜穂はいつも笑顔を振りまいていて、尽くしてくれる。
理想的な女の子だ。
好きになろうとは思っている。理性も徐々に傾き始めている。
それでも、脳裏に浮かんでくるのは綾音だ。
・・・なんで会っちゃったのかなぁ。そう思う。
会わなければきっと、少しずつ確実に綾音の存在を消していけるはずなのに。
運命というものがあるのなら、それはずいぶんと残酷なものだ。
振られても、なお好きでいる。そんな女々しい男に、当の女の子をその場に連れてきてしまうのだから。
「考え事?」
菜穂は心配そうに悠太の顔を覗き込む。
少し、胸が痛んだ。
「いや、なんでもないよ」
悠太は空を仰いだ。
日が暮れて、空は暗闇。その中に点々と光がちりばめられていた。
星を見ると、綾音と初めて一緒に帰った時のことを思い出す。
あの頃に戻れたらな。そんなことを思う。
過去に戻ることはできない。そんなことは分かってはいるが・・・。
時間は確かに、一定のスピードで時を刻んでいく。
過去への願望なんてものは虚しいだけだ。
考えなくちゃいけないのは、未来への希望。隣にいる菜穂との今後。
「この後どうしようか?」
腕時計を見ながら菜穂は聞く。
「もうすぐ帰るか?終電近いし」
「・・・」
悠太の問いに菜穂は不満そうな顔をするだけで何も答えない。
「え、なんだよそれ」
「べっつにぃ~」
菜穂は頬を膨らませて、不満そうに逆の方向を向く。
綾音と菜穂は一切重なることがない。
それが悠太にとってはありがたいことだった。
菜穂は不満な時は頬を膨らませて、綾音は睨んで。
笑顔の時も違う。
菜穂はニコニコした明るい笑顔をいつも悠太に見せていて、綾音は穏やかで優しい笑顔を向けてくれていた。
綾音の笑顔は悠太にとっては特別だった。
友達と一緒にいるときのはしゃいでいるような笑顔。それと悠太に見せるものはまるで別物で。
笑っていることは同じなのに、印象が全く異なって、それが綾音にとって悠太が特別なのだと実感できた。
好きという言葉。
ずっと一緒にいたいという言葉。
どんな言葉をもらうよりも大きく・・・強く。
そんな笑顔に悠太はどんな笑顔で返していただろう。
鏡で見る作り笑顔じゃ分からない、綾音だけに向けた笑顔がそこにあっただろうか。
すごく不安になる。
あの頃の自分はどんなだったのか。綾音の笑顔に相当するものを返していたのか。
もし、違うのならば、特別という意識の欠落で綾音は別れを切り出したのか。
綾音の真意はわからない。
けれど、もっとわからないのは、あの頃の自分。
好きだった相手。その相手が冷めだした頃に、なぜ気付かなかったのだろう。
ちゃんと、悠太は綾音を見ていたのだろうか。
それさえも、疑わしくなってくるんだ。
展開が進みませんww
すいませんw
次回は明後日の木曜日です。
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