~side 愛理~
「半年ぶり・・・か」
独り言のようにつぶやいたその言葉は誰の耳に入るわけでもなく、ただ空気のなかへ消えていく。
私がこっちの世界に戻ってきて初めての夜。
戻ってくるなんて夢にも思わなかったし、さらにこうやって夜を過ごす相手が、好きな人だっていうのもまたすごいことだ。
神様の仕業にしろ、霊の仕業にしろ、宇宙人の仕業にしろ。
これほどありがたいことはない。
死んだ瞬間。
死ぬというものは一切脳裏に浮かぶことなく、気づいたら、私は動かなくなっていた。
甲高いブレーキ音をまじかで聞いて、なんだろう?
そう思いながらそっちを振り向いた途端に・・・
ドン。
私の体は宙に浮いて、投げ飛ばされた。
それ以降の記憶がないところをみると即死だったのだろう。
高校生という若さ。
そこで死んでしまうなんて・・・。
もったいないというかなんというか。
これからするべきことはたくさんあった。
恋をして勉強をして。
就職をして、結婚をして。
そして、子供を産んで。
どれもこれも叶わずじまいだ。
なんてったって、私はまだセックスどころかキスすらしたことがない。
手をつないだことがあるっていうのが精いっぱいだ。
好きな人とは関係は曖昧なまま。
お互いに好きの一言もなく、ただ友達以上恋人未満。
そんな恋愛ごっこを続けていただけ。
実際に彼がどう思っていたのか。
それを知る術はなかった。
だって彼は何も言ってくれなかったから。
それに・・・。
眠っている彼の顔を見ながら
「鈍いんだからなぁ・・・」
睨みつけながら言った。
そう。
彼は極度の鈍感な男だ。
告白じみたセリフを言っても気づかない。
きっと好きという言葉をはっきり言わなくちゃ伝わらないのだろう。
それは生前のうちに自覚はしていたが・・・。
なかなか口には出せなかった。
そんなこんなで月日が経過して、死んで。
そして、霊になってこの世に出てきて。
私がこの世に戻ってこれた理由はいまいちわからない。
漫画やドラマみたいに、何か役目でもあるというのだろうか。
ロマンチックに、告白をして両想いになったら消える・・・みたいな。
冗談じゃない。
消えるくらいなら、告白なんてしない。
両想いになった途端に消えたりしたら、一番いやな展開じゃないか。
それだったら、そうなる前にひと思いに消してくれ。
とは思うが・・・。
消えたくないというのもまた事実であり・・・。
今後どうなっていくのか不安は募る一方だった。
私は、彼から視線を外し、外を眺めた。
満月がきれいに映っている。
「綺麗だなぁ・・・」
そんなことを呟きながら、過去の思い出が脳裏に浮かび、
少しだけ、顔が熱くなった。
そんな自分に思わず苦笑しながら、
「また・・・言えるかな」
消えそうな、小さな声でそういった。
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