13話 振り向いてもらうために | love storys  ~17歳、私と君と。~

love storys  ~17歳、私と君と。~

どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

~side奈々~


苦しい。


苦しい。


こんなにもこの世界は辛かったんだ。


小さい頃、思い描いていた夢。


それが現実となった今、私は今までの人生の中で一番つらい時間を過ごしている。


今は後悔しかない。


普通の生活を送っていればよかった。


もっと普通な・・・。


でも、もう後戻りはできない。


やめる。


そんな選択肢だってあるかもしれない。


けど、それを選んだら私じゃない。


私である意味がなくなってしまうかもしれない。


それは誰だってそうだ。


最初から普通の人ならそんなことはない。


個々1人1人、意味はある。


けど、一度手にした人とは違う力、名誉を手にした者はその分だけ輝きを増す。


そして、その代わりにそれを失ったらみすぼらしいほどにその輝きを失う。


普通の人よりも劣る。


いつかは、かすんで消えていくんだ。


そんな私と玲は話してくれる?


傍にいてくれる?


いつかの放課後のように、私が彼に触れても拒まないでいてくれる?


価値のない私でも。


彼に拒まれるのが怖い。


ただでさえ、希薄になってしまっている関係。


消えかけている関係だけど、私は今でも玲が好きだ。


その関係がいつか元に戻るためにも。


小さなモデルでいることよりももっと大きくならなくちゃいけない。


女優とかそんな道へ。


そうすれば、玲はもう一度私を守るって言ってくれるかもしれない。


そして、私だって恋愛禁止が解けるかもしれない。


女優になれば恋愛自体は禁止されないだろう。


今はその域に達していないから。


まだ、人気の幅が上下するようなぐらい弱々しい・・・微弱な知名度だから。


もっと大きくなろう。


そのためには何をすればいい?


どんな努力をすればいい?


・・・きっと努力だけではこの世界で上に行くことはできない。


なら・・・・どうする。


確実に上がる方法はある。


けど、その手は使っていけない禁じ手のようなもの。


まるでもろ刃の剣のような。


きっとそれを知ったら玲は嫌がるだろう。


でも関係ない。


彼が知らなければいいこと。


私の名前が世に出た理由もそれだった。


また同じことをするだけ。


相手を変えて・・・。


男はみんな飢えている。


すぐに自分の力を誇示して抱こうとする。


今の私にはそれが一番都合がいいものなのかもしれない。


私の『初めて』はとっくに失われた。


・・・あの時は最悪な一日だった。


けど・・・まあいい。


最終的に、玲が私に向いてくれるのなら、それで。


モデルの仕事が終わり、帰ろうとしていた時だった。


携帯電話が鳴った。


『もしもし?』


私は電話に出る。


『奈々ちゃん。久しぶりだね。金平だ』


金平さん・・・。


最近知り合った、映画監督だった。


『どうされましたか?』


『私の映画に出てみないか?』


『え・・・?いいんですか?』


嬉しくなった。


しかし・・・。


違和感が募った。


なんでそんなことを私本人に直接言ってくるんだろうか。


まさか・・・。


『君次第で出させてあげてもいいと考えている』


やっぱり。


男は羊を襲いたい狼ばかりだ。



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