11話 一華 | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

「あれ?なにしてんの?こんな時間に・・・」


彼女は苦笑しながらそう言った。


その時にやった、茶髪の髪をかき上げる仕草を見て、昔と変わってないと実感した。


久しぶりの再会。


8年ぶりの。


それでも、顔を見た瞬間にすぐに分かった。


相手が一華であるということを。


「こっちのセリフ。それより、なんで日本にいるの?」


「ああ・・・。玲には言ってなかったっけ?」


「何も聞いてないよ」


「ごめんごめん。言い忘れてたわ」


彼女は口元で手を合わせて謝るような仕草を見せる。


そして、続けて


「昨日帰ってきたんだよ」


「昨日か。それ、けっこう前から決まってたの?」


「そうだな。ただ帰国するのは一部の人にしか連絡してなかった」


彼女はポケットから携帯を取り出し、ストラップの穴に指を入れてクルクルと回し始める。


「そうなんだ。で、この時間にうろついてる理由は?」


「久々の日本での夜はなかなか寝づらくてさー・・・」


「だからって女の子一人で出歩くのはいかがなものかと思うけど?」


「へぇ・・・」


彼女は意外そうな顔をして「言うようになったな」


にやりと笑った。


「昔とは違うんだよ」


「違う・・・か。じゃあ、あの時の立場を逆転できんの?」


一華は携帯を回すのをやめて、ポケットに戻した。


「当たり前だ。今でも一華に守られるとか、そんなのはあり得ない」


「そっか」


彼女は眼鏡を外して微笑し


「じゃあ、ちゃんと奈々を守ってあげられてる?」


「奈々とは・・・あんまり話してないよ」


「・・・なんで?」


彼女の表情が少しだけ険しくなった。


「今、奈々がなにをしてるか知ってる?」


「いや・・・なにも」


「奈々は今、モデルをやってるんだよ」


「モデル!?すご・・・」


一華は目を丸くした。


「だから、容易には近づけない」


「でも、好きなんだよな?」


一華は昔から男みたいな口調。


それは外国に行き、帰ってきた今でも変わっていなかった。


「なんでそんなこと・・・」


「言いたくないの?」


「当たり前じゃん」


「当たり前・・・ねぇ。よくわかんないな」


「僕は、一華なら何でも話すってわけじゃないから」


そう。昔とは違うのだから。


「私と玲は姉弟関係じゃないってこと?」


「そうだね。今、一華はお姉ちゃんではないから。今では普通の幼馴染だよ」


「人って変わるもんだな」


「そりゃあそうだよ。8年間も違う場所で生活してたんだから」


「そうだよな・・・。あれから8年も経ったのかぁ・・・」


一華は天を仰いだ。


つられて僕も空を見る。


空はさっきと全く変わらないまま。


黒ずんだ中に無数の光が散らばる。


それはまるで宝石のように輝いている。


「なぁ、玲」


「ん?」


僕は彼女を見た。


しかし、彼女は僕の方を見てはおらず、空を眺めたままだった。


「学校は楽しいか?」


「いきなりなに?」


「いや・・・まだ16だし、高校に行かないとまずいかなって思ってさ」


「僕のところに来るの?」


「それを今考えてる。ちなみに偏差値は?」


「たしか・・・62ぐらいかな」


「じゃあ余裕だ」


彼女は一度伸びをして。ふぅ。とため息をついた後僕を見た。


そして、眼鏡をつけて


「玲が行ってる学校に行くかも。」


「え?」


「well,whatever・・・」


ふいに彼女は現地の人かのような流暢な英語を口にした。


その後に続けて、それは今度でいいか。と呟いた。


「なにそれ」


「・・・なんでもない。とりあえず帰るわ。また話そうな」


一華は僕に背を向けて、少し歩いたところで止まることなく手を振った。


「なんだかなぁ・・・」


僕は一華の後ろ姿を見送りながらひとつ、ため息をついた。




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