2話 呼び出し | love storys  ~17歳、私と君と。~

love storys  ~17歳、私と君と。~

どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

夕暮れになると共にカラスが鳴き出した。


部活がない人は帰り支度をはじめ、帰っていく。


部活がある人は部室へ向かう。


「だるいなぁ・・・」


そんなことをぼやきながら。


僕は部活に入っていないので前者だ。


帰り支度をして帰ろうとする。


その時「雨宮」


先生が僕の席のところまで来た。


「なんですか?」


「少し話しあるから職員室に来てくれ」


何の用だろうか?


特に目をつけられるようなことはした覚えないけど・・・。


そんな疑問を抱きながら「わかりました」


僕はそう言った。


「なんかやったのか?」


帰り支度を終えて、机から立ち上がった良一はニヤニヤしながら僕にそう言った。


良一は高校で1番最初に仲良くなった男だ。


まだ高校が始まってそんなに経っていない今、僕が一番頼りにしている友達だ。


「別に・・・心当たりはないな」


苦笑して、教科書をカバンに入れながら僕は答えた。


「どっかのモデルさんに手を出したとか?」


良一の言葉は当然冗談だ。


それは分かっていた。


けど・・・奈々の話、それもこういう嫌な意味での話では僕は融通が利かなくなる。


「そんなはずないだろ」


手を止めて、低めの声で良一を横目で睨みつけながら答えた。


「冗談だよ。冗談。じゃあ、また明日な」


何かしらの危険を察知したのか、良一は僕と話すのを中断させて、帰って行った。


あいつは空気は読める。


そこが1番ありがたいところだ。


対照的に僕は・・・大人げないというか・・・。


奈々と僕の幼馴染であるという関係をばらしてない以上、こんなジョークとかもっとディープなうわさ話とかも出てくるだろう。


そのたびに僕は食ってかかるんだろうか?


「それは避けないとなぁ・・・」


荷物をカバンに入れ終わった僕はカバンを背負って職員室に向かった。


すでに下校している人が多く、廊下や教室など校舎の中に残っている生徒はほとんどいない。


廊下だけを見ていてもつまらないだけなので、僕は他の教室に誰か残っているのかなどを見ながら歩いていく。


「あ・・・」


僕は思わず足を止めた。


隣の隣のクラス。


1組の教室の中に2人の生徒がいた。


その2人は抱き合ってキスをしていた。


当たり前のようにかわされるキスは僕の描く恋愛とは全然違うもの。


高校生って・・・・こういうものなのかな。


僕は2人に気づかれる前に、その教室を後にする。


職員室に着き、ノックをしてドアを開けた。


「小林先生いますか?」


近くにいた先生に聞いた。


「あの柱の奥にいますよ」


眼鏡の優しそうな先生はそう答えた。


「ありがとうございます」


僕は一礼をして教えてくれたところに向かう。


それらしき人物が見え、その人が座っている椅子までいく。


・・・小林先生は小説を読みながら欠伸をした。


職務はどうした、職務は。


そんな突っ込みをしたい気持ちを抑えながら


「小林先生」


先生の名前を呼ぶ。


「おお。雨宮か」


小説を閉じて、椅子を反転させた。


小説は表を向いて閉じてあったので題名が見えた。


『ラブ・ミー・テンダー』


今話題の恋愛小説だった。


内容は恋人同士の男女が遠距離恋愛の中で辛い思いをしながら愛を育んでいくという・・・。


・・・何読んでんだこのおっさんは。


「先生。それで何のご用でしょうか?」


「ああ。大した用ではないんだが・・・」


じゃあ、呼ぶな。


そう思う。


「もうすぐ体育祭あるの知ってるか?」


「知ってます」


体育祭というのは秋がセオリーだ。


けど、この学校は春にやる。


まだ団結力の欠片もないこの時期に。


「そこで、お前には選抜リレーに出てもらう」


「は?」


訳の分からない話に目を点にする。


「うちの学校では、クラスで1番速いやつを選出して競う競技があるんだ」


「はぁ・・・」


「それは全学年のクラス対抗で行われる。1年から3年までの1組。とかそんな感じで。まぁ、それだと3人になるから3年のみ2人だけどな」


「それはわかりました。けど、なんで僕なんですか?」


「体力テストでお前が一番速かったからだ」


「そうですか」


僕はため息をついた。


あったなぁ・・・そんなの。


とか思いながら。


「やってくれるか?」


「選択権はあるんですか?」


「ないな。残念ながら」


笑いながら小林先生は答えた。


「わかりました。やります」


僕はそれに渋々了承した。




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