人が誰かの恋をする時期、タイミング、瞬間は人それぞれ。
恋をしていても、好きという思いに自分自身が気づかないものだっている。
それに比べれば、自分は恵まれているのかな・・・なんて思ったりもする。
まあ、気付いたところで相手にその言葉を言えなければ意味はないのだけれど。
過去。
もしかしたら、彼女は僕のことを好きだったんじゃないかって思うことがある。
あの時のことを思い返せば返すほど。
もしかしたら?
そんな確率が低いものじゃない。
きっと・・・。
一連の騒動が終わった後の帰り道。
河川敷沿いを歩いていた時のことだ。
君の眼にはもう涙はなく、にこりと僕に笑顔を向けてくれていた。
「今日はありがとう」
かわいらしい笑顔。
これを見るだけで幸せになれる。
「お礼を言われるほどのことをした覚えはないけど?」
「してくれたよ。だからすごく感謝してます」
青かった空が徐々に黄土色に染まっていく。
雲たちはゆっくりとしたスピードで流れていく。
目には見えないほど遅く。
「そっか」
「あと、あの言葉も嬉しかった」
「あの言葉?」
「守るって言ってくれたじゃん」
「あ・・・」
恥ずかしい言葉。
それを彼女の口から言われるとさらに恥ずかしくなる。
「守ってくれるんだよね?」
彼女は顔を赤くしてうつむいた僕を覗き込むように首を傾げながら聞いてきた。
目が合う・・・。
「っ~!!」
僕は彼女の視線から逃げるように今度は空を見上げて
「守るよ!!」
大声でそう叫んだ。
声は空に響き渡り、消えていく。
「ありがと」
そういって彼女は触れた。
けど、握ることはしなかった。
すぐに離して何もしていないかの様に振る舞う。
「奈々・・・?」
不思議そうに見る僕に
「あ、ねぇ!!そこの公園に行かない?」
河川敷を抜けて、対向車線側にある小さな公園を指差した。
「?いいけど・・・」
話を逸らすかのように言った彼女のその言葉に僕は一切そのことに気づかなかった。
横断歩道を渡って公園の中へ。
公園の中には砂場とブランコしかなかった。
あとはベンチが三つくらい。
彼女はベンチに座った。
そして、僕を手招きする。
僕はそれに従い、隣に座った。
「なんか話しませんか?」
「なにを?」
小さいサイズの僕らの足はぎりぎり地面につくかつかないかぐらいだった。
足をブラブラとさせながらあたりを見渡す。
初めて入った公園だった。
たまに通ることはある。
だけど、足を踏み入れることはなかった。
見た限りで何もなかったから。
「玲って好きな人いるの?」
「え!?」
唐突すぎる質問に驚く。
「少し気になっただけ。答えたくない?」
「答えたくないなぁ・・・」
「てことはいるんだ?ませてるね」
「ませてるって・・・」
僕は苦笑しながら彼女を見た。
そんなセリフを使うほうがよっぽど・・・だ。
「そういう奈々はいるの?」
「私!?」
体をびくっと震わせる彼女。
「いるんだ?」
「なんでよ?」
「反応でわかるよ」
「む~・・・」
彼女は頬をふくらます。
「相手は誰?」
「そんなの言わないよ」
「なんで?」
「なんでも」
好きな人がいる・・・か。
結構ショックだった。
いないでほしいって願っていた。
その相手は誰なんだろうか。
それを考えている間、僕は無言になっていた。
そして無言は僕だけではなく彼女も・・・。
彼女も僕と同じように何かを考えているみたいだった。
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一筋の光明を見出すだろう。