僕らが愛を確かめ合うのに言葉はいらなかった。
行動・・・動作・・・息遣い。
ただそれだけで感じ合う。
そんな愛はとても甘い。
そして、どこかほろ苦いような・・・。
そう思えた。
所詮は高校生の恋。
ちっぽけで自由がきかないもの。
その中で精一杯の愛情表現。
・・・なんて。それはただの言い訳。
経験というものが一切ない僕らが作った馬鹿みたいな言い訳だった。
手の温もりだけで僕らはお互いを感じ合う。
小さい頃に何度も握っていたその手。
今、こうしてもう一度握ってみるとそれは特別なものに変わっていた。
小さい頃と今では全然違う。
何が違う?
『言葉にできない何か』
それは到底他人が理解できるものではない。
味わっている当人でしか得られない・・・特別なものだ。
握り合った手はそこから動くことはない。
静止して、ただ相手の感触を確かめるだけ。
彼女は下に向けていた顔を上げて、僕をまっすぐ見た。
頼りなく灯されているただ一つの街灯が彼女の顔を映す。
ニコッと笑いながら頬を赤らめている彼女の顔は当然ながらとても可愛らしかった。
そんな彼女を見て愛おしく思うと同時に過去のことが少しだけ頭に浮かんだ。
常に傍にいた君。
そんな君は隣にいて当たり前で、傍からいなくならないと思っていた。
だけど君は遠くに羽ばたいていってしまった。
好きだった。
けど、想いは伝えることはしなかった。
ずっと傍にいてくれたから。
それに怖かったから。
想いを伝えることで君が遠のいてしまうのが。
なんて言ってはいるけど・・・気がつけば手の届かない存在になった。
僕がどんなに手を伸ばしても、か細い手を差し出してくれるはずがないと断言できる遠い存在。
でも、この時。この瞬間。
君は僕のそばにいた。
そして、手を握ってくれている。
そんな今が夢みたいに思える。
ここに広がるのはあり得ないような光景。
信じられない光景。
もし夢ならば・・・覚まさないでほしい。
ぼくはずっと夢の住人でありたい。
そこまで思えるほど幸せな時間。
どんな瞬間よりも貴重で大切な時間だ。
その時、頼りない街灯が光を消した。
ふっと消えた明かり。
僕らを包む景色は一瞬であたりを闇に覆い、少しだけ寂しさ、悲しさという感情を浮き出させる。
「あ・・・」
「消えたね・・・」
彼女の顔が見えなくなる。
暗闇に慣れてきたとはいえ、鮮明に表情が分かるほどまでには至らない。
おぼろげに見えるだけ。
「場所・・・変える?」
僕は聞いた。
「ん~・・・見つかっちゃうかも・・・」
「ああ・・・。でも大丈夫じゃない?こんな深夜だし」
「侮れないですよ?」
これは彼女の癖。
たまにこうした敬語を使うんだ。
「そう?」
「うん。それに・・・」
彼女が僕の手を握る力が強くなる。
「それに・・・何?」
「暗い方が言いやすいから・・・」
消えていくような弱々しい小さな声。
だけど、はっきり聞こえる。
周りの雑音は僕の耳には一切入らないから。
視界が見えなくなると、異常なほどに感触、声が聞こえるようになるんだ。
「何か言いたいことがあったの?」
「うん。あった。ずっとずっと言いたかったことが・・・」
彼女は今どんな表情をしているだろう。
どんな気持ちでいるだろう。
僕には何もわからない。
ただ一つだけ分かること。
彼女は・・・。
「私・・・君のことが・・・」
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僕は純愛なんかしたかなぁ・・・。
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