ザァァァ・・・。
大雨が私の体に当たる。
けれど、私は傘を差すことはない。
なんで?
さぁ?
わかんない。
強いて言うなら・・・また翔が現れてくれるかもしれない。
そんな淡い期待をしているからかもしれない。
だから、私は横断歩道を渡らず赤になるまで待ってみる。
信号が点滅して赤になった。
車が前方を通り過ぎていく。
このたくさんの車が通り過ぎて行った後・・・。
信号が青になった時・・・。
翔は目の前に現れてくれるかな?
・・あり得ない。
だってここは東京。
北海道ではない。
私の隣に、女の人と子供が並んだ。
その2人は当たり前のように傘を差して。
信号は赤のまま。
2人は不思議そうに私の方を見ている。
そして、子供は正直だ。
疑問に思ったことを何のためらいもなく、口にする。
「おねぇちゃん・・・なんで傘差さないのー?」
「やめなさい」
お母さんが諭すように言う。
「大丈夫です」
私はニコッとお母さんに笑みを見せた後、かがんで女の子と同じ目線に立った。
「待ってるの・・・」
そう言った。
「・・・誰をー?」
「大切な人を・・・」
「大切な人・・・?」
「いつかあなたにもできる大切な人を。そのために私は傘を差さない」
意味がわからない答え。
私にしかわからない答えだ。
信号が青になって、お母さんは一礼して、横断歩道を渡る。
逃げるように。
あの人に私は異常な人。
そう見えたのだろう。
信号が青に変わったところで、当たり前だが待っていた人は現れない。
ザァァァ。
ただ虚しく、私の体に雨が当たる。
私はかがんだまま、そこから動かない。
最後にあったあの時から、どれくらいの月日が経過しただろう?
一年会えなくて辛かった。
だから、会いに行った。
けど、もう今度は三年。
辛すぎる。
心が張り裂けそうだ。
どうして・・・私は兄に恋をしてしまったのだろう・・・?
何度も自問自答する。
だけど、当たり前のように答えは見つからない。
「どうして」
それは恋愛に関して使っても仕方がない聞き方だ。
「好きになったから・・・好きなんだ」
翔の顔を思い出せば涙があふれてくる。
止まらなくなる。
雨に混じってその涙が地面に落ちていく。
体全身が濡れる。
空が光った。
そして、雷が落ちる。
目の前の高層マンションの明かりが全部消える。
その光景は幻想的で・・・。
なんて。
周りを見渡すと、すべての電気が消えていた。
真っ暗な夜。
雨の音だけが聞こえる。
いや・・・違った。
一つの足音。
誰だろう?
私は立ち上がり、その人の方を見た。
その人は無言でこっちに近づいてくる。
スーツを着たサラリーマン。
眼鏡をかけて真面目そうな。
それが私の第一印象だった。
その彼は、私の頭上に傘を差した。
「え・・・?」
私は途方に暮れる。
だって、目の前の彼が知り合いでもない私に傘を・・・。
そして、彼のスーツは雨に濡れる。
「大丈夫?風邪引いてない?」
「え・・・と・・・」
なにがなんだかわからなくて、なんて返事をすれないいかわからない。
「こんなところで、傘もささずに1人でいちゃだめだよ」
「あなたには関係ないじゃないですか」
初めてちゃんと返せた返事がそれだった。
「関係があるんだよ。これが」
濡れた手で、私の濡れた髪を触った。
なにが・・・なんだかわからない。
この人何なんだ・・・?
「俺が誰だか・・・わからない?」
「え・・・?」
彼は眼鏡を外した。
「あ・・・」
大介さんだった。
スーツと眼鏡。
この二つで全く気付かなかった。
彼は、私の体を自分の方に寄せた。
気付いたら、私は彼に抱きしめられていた。
「翔のこと・・・忘れなくていいから・・・俺のそばにいてくれない?」
電気が復旧したようで・・・あたり一面が一気に明るくなる。
まるで・・・私たちにスポットライトが当てられたみたい。
「その言葉・・・きっといつか後悔するかもですよ」
私は、彼の背中に手を回した。
「しないさ。紗希ちゃんが手に入るなら、他になにもいらない・・・」
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よし、勉強しよう!w
あ、これは星空の下でのやつです。
あまり説明はしません。