最終話 幸せな未来へ | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

              ――― 2年後 ―――


「裕樹君!!早く!!」


「ちょっと待って!」


僕は気慣れていないスーツに袖を通す。


「あっネクタイちゃんと締まってないよ」


由美は僕のネクタイを締めながら


「こうしてると、新婚さんみたいだよね」

ニコッと笑った。


「あはは。それは少し照れるな」


あの事故の後、僕が目を覚ましたのは2週間後。


腕やあばらの骨などを折って全治5か月。


けれど脳に後遺症などは残ることはなく、今では前と全く変わらない生活を送ることができている。


そして、今僕らは同棲を始めている。


僕の家で。


高校生を卒業してまだ同棲は早いんじゃないかと梨香さんに言われた。


僕も確かにその通りだとは思ったが、由美の強い希望により僕らは一緒に住むことになったんだ。


まだ、お互いの親の金で済んでいる。


早くその生活も辞めなくてはならない。


その第一歩となるのが今日。


今日は大学の入学式だ。


僕らはめでたく、同じ学校に進学することができた。


2人とも特待生で。


見事に試験結果がトップ5に入ったらしい。


「よし。行こ!」


由美がドアを開けて外に出る。


「うん」


僕も靴を履いて外に出た。


僕がカギをかけていると、由美が後ろから抱きついてくる。


「うお!?どうした?」


「意味はないかな」


由美はカラカラと笑って僕から離れた。


そして、僕の手を握る。


由美の体温が僕の体に伝わる。


「由美・・・」


僕は彼女の手を少し強く握った。


「これからもよろしく」


「こちらこそ」


由美は微笑する。


「でも・・・そんなこと言ってる余裕ない・・・よね?」


由美が時計を見ながら言った。


「え?」


僕も左手につけている腕時計を見る。


・・・やばい。


「走るか」


僕は彼女の手を引いて走り出す。


「え?あ、うん」


由美は引っ張られるようについてくる。


もちろん無理はしない程度で。


「大学生にもなって、彼氏と手もつないで走るとは思わなかったよ」


由美は笑いながら言う。


「僕も。でも・・・」


信号が赤になり、僕は立ち止まった。


「幸せだ。君とずっといられて・・・」


「私も!」


由美がそっと僕にキスをした。


そして、一度手を離してもう一度繋ぐ。


これが、僕らの“ずっと一緒にいるという証”


不器用なやり方だけど、君の温もりを感じた時・・・それが一番君が傍にいるって実感できるから・・・。


大好きな由美と・・・。




『裕樹君。よかったね。これからは由美と2人で幸せな未来を歩いて行って。私はもう君の記憶からは消える。だって私の役目はもう終わったんだから。これでやっと私は“楓”から解放されるんだ。ありがとう・・・』



どこからか・・・また楓の声が聞こえた気がした。


僕は自分の頭の中で楓に向かって最後の一言を言った。


『ありがとう・・・』


僕の声は届いただろうか。


「どうしたの?」


由美が首をかしげて僕を見る。


「なんでもないよ」


僕はそっと由美にキスをした。






『どういたしまして・・・』