楓はちょうどいいことに、他の女友達といる。
夏帆も女友達といる。
隼人も友達と。
完璧に一人だ。
どこに行こう・・・。
僕はパンフレットを見る。
何箇所かの観光スポットがある。
どこに由美はいるだろうか?
今の時間は午後2時。
また、ここに戻ってこなくちゃいけないのは6時。
あんまり遠くには行けない。
もし、遠くに行くならチャンスは一回しかない。
4時間しかないし・・・。
僕はそんなことを考えながら由美に電話をかけた。
・・・。
繋がらない。
どうやら、電波が悪い所にいるらしい。
由美の性格を考える。
由美ならどこを見に行くだろうか?
・・・いや、もしかしたら由美も同じ考えをしているかもしれない。
僕が行きたい場所を・・・。
そう考えると分からなくなってくる。
どこに行けばいいんだ・・・?
その時、一箇所僕の目に留まるところがあった。
由美なら・・・絶対に行きたい場所・・・。
宗谷岬。日本の南が始まる最北端の地だ。
僕がいるのは稚内駅周辺。
どう考えてもかなりの時間がかかる。
往復だけでも6時までに戻ってこれないかもしれない。
でも・・・そんなの関係ない。
きっと、由美はここにいる。
僕はそう信じて電車に乗り込んだ。
けっこうな時間をかけてその周辺の駅に着いた。
僕は宗谷岬がある、宗谷公園に向かう。
小降りの雨が降っているせいで人影は少ない。
走ろうとするが腹部が痛くて走れない。
由美はいるだろうか?
普通に考えているはずがない。
自由時間が被っているとはいえ、
同じ時間に同じ場所。
会えるはずがない。
会えたら、それは奇跡。
せめて、携帯が使えれば・・・。
何て事を思っても、繋がらないものはどうしようもない。
公園を横切って宗谷岬の文字通り最北端にある
地の牌がある場所に辿り着いた。
観光客は一人もいない。
と思ったら、そこから海を眺めている一人の少女がいた。
一瞬、由美かと期待した。
けど、違う。
そこにいたのは夏帆だった。
なんで、夏帆が・・・。
少しの落胆と少しの不安が僕の胸の中にあった。
そして・・・嫌な予感が・・・。
時刻は午後3時半。
陽が少しずつ傾いている時間帯・・・。