「付き合ってる人・・・?」
復唱するように夏帆が聞いてくる。
「うん・・・」
僕は小さく頷く。
「それは・・・誰・・・?同じ学校の人・・・?」
「いや・・・前の学校の人だよ。転校する前の」
「じゃあ、今は遠距離恋愛なんだ?」
そう言った夏帆に少し笑顔が見られたのは気のせいだろうか?
「そうだけど・・・なんで?」
「それなら、まだチャンスがあるかなって」
夏帆は僕の目を見てニカッと可愛らしい笑顔を見せる。
「チャンスって・・・」
僕が苦笑すると、夏帆は手でグーを作り
僕の胸に当てた。
「私が君の彼女から君を奪い取る。もう一度君を振り向かせる!!」
夏帆・・・。
そんなこと君が言うから、また心が揺らぐんだよ・・・。
「別に・・・僕にこだわんなくても・・・。それに、あれから結構経つのに・・・」
僕は君の目を見ないようにして言う。
「そうだね。だから、裕樹君の気持ちは変わってしまった。けど、私の記憶はあのときで止まってる。だから・・・君のことが好きなままなんだよ」
夏帆は少し切ない笑顔を見せた。
「ごめん・・・」
僕は思わず下を向いて謝る。
「なんで、謝るの~?」
夏帆は下を向いた僕を覗き込みながら聞いてくる。
すごく顔が近い。
こうやってみると、やっぱり可愛い。
アイドルとかに引けを取らないくらいだ。
「そりゃあ・・・僕が君を守れなかったから」
僕は、何度も目を合わせようとしてくる君から目をそむける。
きっと、君は分かってるんだよね?
見つめ合って、手を握ったりしたら・・・完全に由美を忘れてしまうだろう。
そして、自分の思うままに・・・夏帆、君の方にいくことを。
「ねえ・・・裕樹君・・・」
夏帆が僕の手を握る。
指を絡めるようにして。
「な・・・に・・・?」
「私の方・・・見てよ」
「やだよ」
僕は手を離した。
「裕樹君・・・。そこまで、私のことを見れないぐらい好きになった相手って誰?」
後ろを向いた僕に夏帆はそう問いかける。
背中越しだから夏帆の表情は見えない。
「言ったじゃん。前の学校の人だって・・・」
その僕の言葉を無視するように夏帆は・・・
「私の知ってる人・・・だよね・・・?」