81話 誘惑 | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

「付き合ってる人・・・?」


復唱するように夏帆が聞いてくる。


「うん・・・」


僕は小さく頷く。


「それは・・・誰・・・?同じ学校の人・・・?」


「いや・・・前の学校の人だよ。転校する前の」


「じゃあ、今は遠距離恋愛なんだ?」


そう言った夏帆に少し笑顔が見られたのは気のせいだろうか?


「そうだけど・・・なんで?」


「それなら、まだチャンスがあるかなって」


夏帆は僕の目を見てニカッと可愛らしい笑顔を見せる。


「チャンスって・・・」


僕が苦笑すると、夏帆は手でグーを作り


僕の胸に当てた。


「私が君の彼女から君を奪い取る。もう一度君を振り向かせる!!」


夏帆・・・。


そんなこと君が言うから、また心が揺らぐんだよ・・・。


「別に・・・僕にこだわんなくても・・・。それに、あれから結構経つのに・・・」


僕は君の目を見ないようにして言う。


「そうだね。だから、裕樹君の気持ちは変わってしまった。けど、私の記憶はあのときで止まってる。だから・・・君のことが好きなままなんだよ」


夏帆は少し切ない笑顔を見せた。


「ごめん・・・」


僕は思わず下を向いて謝る。


「なんで、謝るの~?」


夏帆は下を向いた僕を覗き込みながら聞いてくる。


すごく顔が近い。


こうやってみると、やっぱり可愛い。


アイドルとかに引けを取らないくらいだ。


「そりゃあ・・・僕が君を守れなかったから」


僕は、何度も目を合わせようとしてくる君から目をそむける。


きっと、君は分かってるんだよね?


見つめ合って、手を握ったりしたら・・・完全に由美を忘れてしまうだろう。


そして、自分の思うままに・・・夏帆、君の方にいくことを。


「ねえ・・・裕樹君・・・」


夏帆が僕の手を握る。


指を絡めるようにして。


「な・・・に・・・?」


「私の方・・・見てよ」


「やだよ」


僕は手を離した。


「裕樹君・・・。そこまで、私のことを見れないぐらい好きになった相手って誰?」


後ろを向いた僕に夏帆はそう問いかける。


背中越しだから夏帆の表情は見えない。


「言ったじゃん。前の学校の人だって・・・」


その僕の言葉を無視するように夏帆は・・・


「私の知ってる人・・・だよね・・・?」