もう一度・・・夏帆と付き合うこと・・・。
ばれないようにして・・・だとしても、それは由美を裏切る
ことになる。
だから・・・由美が好きな僕はその申し出は断らなくてはならない。
けど、なぜかその言葉が出てこない。
それは夏帆に対する同情でも何でもない。
こうやって夏帆と話してて分かった。
僕は由美以上に夏帆が好きだ。
「だめ・・・かな?」
僕の返事を待ち切れず、不安そうに夏帆が聞いてきた。
「ごめん・・・」
必死の思いで僕はその言葉を言った。
夏帆のことは好きだけど・・・でも・・・由美を大切にするといった。
由美は信じて待ってくれている。
僕はその由美の気持ちを裏切りたくないんだ。
由美のことが好きだから・・・。
矛盾してる?
そんなのは知ってる。
夏帆の方が好きといっておきながら、結局は由美を選ぶこと。
矛盾していてもいい。
僕は信じて待っていてくれているはずの由美を選ぶ。
その時、脳に誰かの声が響いた。
耳から入ってくる声じゃない。
なぜか直接脳に響く声。
『本当に・・・あなたは由美を信じられますか?』
え・・・?
透き通る綺麗で高い声が僕に問いかける。
『それはどういう意味だよ・・・?』
僕はその声に聞く。
『メール一つ返事が返ってこないだけで不安になるあなたに、遠距離恋愛が・・・由美と付き合うことができますか?』
『・・・不安にはなるさ。けど、不安がない恋愛なんてないと思うし・・・それに・・・答えになってないかもしれないけど、僕は由美が好きだから』
『夏帆の方が好きなのに・・・?』
『・・・会えば、由美が上回るさ・・・』
僕がそういうとその声が消えた。
そして、僕は夏帆に振り返る。
「今・・・付き合ってる人がいるから」
あの時、由美を選択したことは後悔なんてしていない。
けど、正しい選択ではなかったのかもしれない。
きっと、あの時のせいで・・・惨劇を引き起こしたんだから・・・。