由美・・・。
「っ・・・」
僕は反射的に唇を離した。
「どう・・・したの?」
不思議そうで・・・少し悲しそうな顔で僕の方を見る。
「いきなりキスはやめろよ・・・」
「でも・・・やっと会えたんだからいいじゃん」
「夏帆・・・お前には彼氏がいるだろ・・・」
僕がそう言うと、夏帆の表情が険しくなった。
「隼人のこと・・・?」
「うん」
「私は別に隼人のこと好きじゃないよ・・・」
夏帆は少し切なそうな顔を見せる。
「好きじゃない・・・?付き合ってるのに・・・か?」
「政略結婚・・・みたいな感じかな?昔から決まってた許婚」
「許婚・・・?なんで・・・?」
「うちの会社が潰れそうだから。今ピンチなんだって。だから、山岸財閥の御曹司と結婚するらしい」
政略結婚って・・・。
「じゃあ・・・愛のない結婚ってこと?」
「どうだろうね?隼人は私のこと好きらしいよ」
苦笑しながら夏帆は言った。
「そっか。じゃあ、質問」
「何?」
「夏帆は隼人と結婚するの?」
「どうだろうね。このままだったら結婚するのかもね。でも・・・だからこそ・・・」
夏帆は僕の目を見る。
「今は君と一緒にいたい・・・」
「え・・・」
「大好きだった君と一緒にいたい」
「隼人にばれたらどうすんだよ」
僕は冗談交じりに聞いた。
「もし・・・ばれたら」
夏帆は右手で銃の形を作って僕の左胸に当てた。
「ドン!!」
「なんだよ?」
「こうなるだろうね」
「・・・僕は殺されるのか?」
僕は内心肩をくすめて苦笑する。
「暴力団関係と繋がりがあるし、裏金とかもやってるって噂だしね」
「ずいぶん危ないなぁ」
「まあ、所詮噂だけどね。それよりさ・・・さっきの返事は?」
夏帆が少し真剣な表情になった。
「返事って・・・?」
折角話を逸らしたのに・・・。
「また・・・付き合うこと。誰にもばれないように・・・」
この問いに僕は戸惑うんだ・・・。
答えなんて決まってるはずなのに・・・。