「今・・・なんて言った・・・?」
「・・・」
「裕樹君・・・もしかして・・・」
夏帆がそこまで言った時、急に彼女が頭を抱えて崩れ落ちる。
「どうした!?」
僕は彼女のそばに駆け寄る。
「うう・・・」
夏帆は苦しそうな顔をする。
「大丈夫か・・・?」
僕が彼女の肩に手を置いた時・・・
夏帆の表情がいつもどおりに戻った。
そして、夏帆は僕の方を見た。
その表情はさっきとはまるで違う。
「裕樹・・・君?裕樹君だよね・・・?」
夏帆は当たり前の質問を僕にした。
信じられないというような顔をして。
「え・・・?そうだけど・・・」
僕が困惑の表情を浮かべながらそう言うと
「裕樹君!!」
夏帆が僕に飛びついてきた。
「うわっ!」
僕はよろけながらそれを受け止める。
「どうしたの?」
訳も分からず飛びついてきた夏帆に聞いた。
「やっと・・・記憶が戻ったよ!!」
夏帆は嬉しそうな表情を浮かべて言った。
「ほんとに・・・?」
「うん!!ほんと!!」
夏帆の記憶が戻った。
これはとても嬉しいこと。
けど・・・なんだろう・・・?
本当に夏帆の記憶が戻ってよかったのだろうか・・・?
夏帆が一度僕から離れた。
そして、昔と同じように意地悪そうな笑顔を浮かべた。
この時の夏帆は何かをたくらんでいる時の顔。
新潟に来てから・・・あれ以来初めて見た。
「裕樹君・・・」
そのままの表情で夏帆は僕の名前を呼ぶ。
「何?」
「久しぶり。君のことが大好きだ・・・」
夏帆を唇を重ねてくる。
僕はそれを拒まない。
だって・・・昔から想ってきた人だから・・・。
だけど・・・夏帆が舌を当ててきたその時・・・。
由美の顔が浮かんだ・・・。