~side裕樹~
また、嫌な一日が始まった。
時計を見る。早く着替えて家を出なくてはいけない時間だった。
別に、寝坊したわけじゃない。
あえて、この時間にしているんだ。
そうすることであの親と話さなくて済むんだから。
僕は携帯を開いてメールを送った。
もちろん由美にだ。
内容はちゃんと学校に行けよとかそんなくだらないメール。
こんなメールを送る理由は簡単。
由美と繋がっていたいから。
ただそれだけ・・・。
僕は着替えて家を出る。
学校までの何回か、メールの返信ボックスを確認するが
返信は来てない。
少し不安になる。
けど、ただ気づいてないだけかもしれない。
僕は教室に入る。
相変わらず五月蠅い教室。
一日目はそれが嬉しかったが、
今日みたいに少しテンションが低い日はあんまり嬉しくない。
「はぁ・・・」
僕は誰にも聞こえないぐらいの声でため息をついた。
「おはよう。裕樹君」
席に座ると、さっそく楓が話しかけてくる。
そんな彼女に
「ごめん。今は話しかけないで・・・」
僕はそう言って机の上に伏せる。
「うん・・・」
楓の少し寂しそうな声が耳に響いて少し罪悪感を感じる。
・・・なんだよこれ。
*********
ここはどこだろうか?
辺り一面に草原が広がっている。
どこのアニメの世界だ。
こんな場所来たことない。
というより、こんな場所あったか・・・?
『裕樹君!!』
後ろから声がして僕は振り返った。
そこにいたのは夏帆。
『ねぇ・・・昔みたいにキス・・・してほしいな・・・』
何の脈絡もなく、夏帆は言った。
『は・・・?なんで・・・?』
頭が混乱している僕に夏帆は顔を近づけてくる。
そして、唇が重なるその瞬間・・・後ろから声がした。
『裕樹君は夏帆を取るんいだね・・・』
愛しい声が聞こえた。
その声は少し冷たいもの。
僕は唇を合わせる前に後ろを向いた。
そこにいたのは、由美と・・・もう一人の男の姿。
『蓮・・・?』
『私、この人と付き合うから』
そう言って由美は蓮とキスをした。
『由美・・・なんで・・・よりによって蓮と・・・』
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「・・・くん」
「・・・きくん」
「裕樹君!!」
「え・・・?」
僕は楓の声で目を覚ます。
「ごめん・・・寝てた・・・」
「知ってるよ。それよりすごい汗だよ!?大丈夫?」
「ああ・・・冷や汗ってやつだよ・・・」
僕は苦笑いする。
当たり前だ・・・。
夢にまで・・・蓮が出てきたんだから・・・。
それも・・・由美の隣で・・・。