彼が座る場所は予想以上に近かった。
いや、それはただの先入観。
実際は普通の距離。
それなのに・・・となりに男の子が座ってるだけで・・・
胸が疼く。
そんな自分が信じられない。
私は裕樹君が好きだ。
他の人なんて見えないはずなのに・・・。
好きという感情は直感によるもの。
自分で左右できるものじゃない。
けど、これだけは信じたくない。
「どうしたの?」
彼が私の顔を覗き込む。
その顔は目の前にある。
私が少しでも彼の方に顔を傾けたら・・・
それだけで、二人の唇が重なるんだ。
・・・。
何を考えてるんだろうか・・・?
「なんでもないよ・・・」
私はそう言って、窓から外を眺める。
殺風景な景色が広がっていた。
特に楽しくもなんともない。
でも、彼と話したら・・・。
私の気持ちが変わってしまいそうで怖い。
蓮君は裕樹君とは逆に近いほど違うタイプの人。
裕樹君は『僕』と言うにもかかわらず少し男らしい人。
逆に蓮君は『俺』と言うけど仕草が可愛らしい人。
裕樹君に守ってもらいたくて、蓮君を守ってあげたい。
とか思う。
けど、蓮君は可愛らしい一面もあるけどさっきみたいに私を助けてくれる一面もある。
でも、それはすごく不器用な助け方。
自分の身を削って私を守ってくれる。
裕樹君なら・・・カッコよく助けてくれそうだ。
でも、顔は蓮君の方がイケメンだけど。
そんなことを言ったら裕樹君に悪いかな・・・?
そして唯一、二人に共通すること・・・。
それはとても優しいところ。
私の心はどっちに動くだろうか?
でも、祈ってるんだ。
まだ、一日しか会ってない人なんかに裕樹君のことが好きな気持ちは負けないって・・・。