70話 少しずつ・・・ | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

「ねぇ・・・名前教えてくれないかな?」


無意識のうちに私はそう口走っていた。


「立石蓮。君は?」


「私は佐伯由美。よろしくね、立石君」


とりあえず、当たり障りのないように名字で呼んでおく。


「よろしく。え~・・・となんて呼べばいいかな?」


・・・それは聞くことなのか?


ていうか、さっきまでの勇敢な姿が一切感じられない。


むしろ、からかえる少し可愛い感じの男の子。


「なんでもいいよ」


「じゃあ、由美さんでいいかな?」


「ふぇ!?」


予想外の返答に私は素っとん狂な声を出していた。


「俺、なんか変なこと言ったかな!?」


彼は少し焦っている。


どうやら分かってないらしい。


「別に何でもないよ、蓮君?」


私がそう言うと、やっと分かったらしく、


「名前は嫌だったかな・・・?」


彼は申し訳なさそうな表情を浮かべた。


少し意地悪だっただろうか?


「いいよ。由美で」


「ありがと」


彼は微笑む。


「・・・っ」


私はバツが悪そうに顔をそむけた。


「ん?どうしたの?」


彼が私の顔を覗き込む。


私は彼を見ずに話す。


「そんなことより早く病院行かないと・・・」


「でも、近くに病院ないし・・・」


彼は周りを見渡す。


「タクシーで行けばいいんだよ」


丁度来たタクシーを止めて私は言う。


「え・・・俺そんな金ないんだけど・・・」


彼は少し戸惑う。


そんな彼の表情が可愛いと思う私は変だろうか?


「私が払うから大丈夫だよ」


そう言って、私は乗り込む。


そして、少しためらう彼に


「はやく」


と諭すと、彼も乗り込んでくる。


ここから、病院までの数分間。


彼が、すぐ隣にいるんだ・・・。






この時の私は目の前にいる、


可愛らしい人なのに、本当に危ない時はすごく頼りになる


男の子に惹かれ始めていた。