~side由美~
その日の朝はとても嫌な朝だった。
太陽が燦々と照りつける中、学校までの道のりを
歩かなければならないのだから。
裕樹君がいなくなってから、何日かが経って今日から
始業式が始まる。
「裕樹君がいない学校かぁ・・・」
そんな独り言をつぶやくとなおさら学校に行きたくなくなる。
また、前みたいにつまらない学校生活が始まるんだ・・・。
裕樹君に会いたいなぁ・・・。
いなくなってから、毎日メールをする。
電話もたまに・・・。
でも、怖い。
いつか、これがなくなるかもしれないと思うと。
・・・やめなきゃ。
こんなこと考えても何も変わんない。
私は一階に降りて学校に行く支度を始める。
「おはようございます。由美お嬢様」
丁寧な姿勢と言葉で梨香さんが話しかけてきた。
「おはよ・・・。なんか、学校行きたくないなぁ・・・」
言っても何も変わらない不満を彼女にこぼす。
「そうですね~・・・まあ、気持ちはわかりますけど、いかないとしょうがないですからね」
梨香さんは朝食の準備をしながら言う。
「だよね~・・・」
私はため息をつきながらテーブルに座って朝食が用意されるのを待つ。
こんな朝食が準備される数分ですら裕樹君のことを考えてる。
いつから、私はこんな恋する乙女になったのだろうか・・・?
そんな自分に内心肩をすくめて苦笑する。
「はい。できましたよ」
梨香さんが三枚ほどの料理がのった皿を私の前に並べる。
「ありがとう」
私は梨香さんに礼を言い、目の前の料理を食べ始める。
こんな、いつもと変わらない日々の中の一日。
また、同じような一日が始まるんだ。
けど、決定的に違うこと。
それは、大好きな君と学校で会えないこと。
ただ、それだけ・・・。
それだけだけど・・・それが何よりも大きいんだ。
そしてまた、私の憂鬱な気持ちとは裏腹に学校得行く時間となる。
「ねぇ、梨香さん」
私はガラス越しに外を見ながら彼女に話しかける。
「なんですか?」
「なんで、太陽って昇るんだろ?」
「なに、大自然にイチャモンつけてるんですか?」
はぁ、とため息をつきながら彼女は言った。
「いや・・・。もし太陽が昇らなければ学校に行かなくていいのになぁ・・・って」
「そんなの誰だって思いますよ。嫌なことがなければ、きっと良いことだって起きなくなりますよ」
食器を洗いながら彼女は言う。
「だよ・・・ね・・・」
良いことって・・・何なんだろう?
嫌なことって何なのだろう?
私にはどんなことがこの先訪れるのだろうか・・・?