66話 昔と今が・・・ | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

「なんですか・・・?」


僕はなんとか振り返り、他人行儀のようにそう答えた。


「えと・・・今日転校してきた人ですよね?私と同じクラスの・・・」


「そうです。あなたと同じ三組ですよ。佐伯さん・・・」


僕は初対面なら知るはずのないその名前を言った。


「え・・・?私の名前知ってるんですか?」


意外そうな顔で夏帆は僕を見る。


そりゃそうだ。


まだ、会って一日。


そんな中で、クラスのそこまで目立たない一生徒の名前を知っているんだから。


「うん。知ってますよ。逆に僕の名前わかりますか?」


「えっと・・・杉原・・・裕樹君・・・でしたよね?」


自信なさそうに彼女は答える。


「正解です・・・」


僕はそう言って歩き出す。


「あ、ちょっと待って・・・」


夏帆は僕の隣に並ぶ。


「え・・・?」


何故隣に並ぶ・・・?


僕の心の叫びが分かったかのように彼女は


「家どこら辺なのかとか聞きたいこと色々あるから・・・」


「初めて会う人には興味津々ですか?」


僕は皮肉を言う。


相手に分かるはずもない皮肉を・・・。


「そうですね。初めて会う人には興味があります。同じクラスですしね。それに・・・」


下を向いて話していた夏帆が僕の方を見る。


「初めてな気がしないんですよ!!」


彼女はそう言って笑顔になる。


けど、その笑顔にすごく嫌悪感を感じた。


「いや・・・初めて・・・だよ?」


僕は嘘をつく。


「ん~・・・なんでだろう?」


そう言って彼女は考え込む。


「どこかですれ違っただけとかじゃないの?」


素っ気なく言う。


「違うんだよきっと・・・。もしかしたら・・・昔・・・」


「え・・・?」


「う、ううん。なんでもない」


彼女は焦りながら手を振る。


・・・どうやら記憶喪失は隠していることらしい。


だったら、なんで楓は知ってたんだか・・・。


「あ、あのさ!!」


突然、夏帆が顔を赤らめて言った。


「え?何?」


僕は少しうろたえる。


「君にはすごく近親感を感じるんだ・・・。だからさ・・・」


「・・・」


「あんま深い意味はなくさ、君のこと裕樹君って呼んでいい?」


「・・・っ」


夏帆のその言葉が・・・昔の「夏帆」の言葉に重なった。


表情も・・・仕草も・・・すべて・・・。


「・・・ごめん、先帰る・・・」


僕はそう言って、小走りで彼女が見えなくなるまで走った。


そして、路地裏で立ち止まる。


息切れがひどくなり、壁に手をつき下を向いた。


「これじゃあ・・・忘れられないよな・・・」


僕は力なくそう消えるような声で呟いた。