「どうしたの・・・?」
気遣うように楓も立ち止まり、僕の顔を覗き込む。
「ん・・・。なんでもないよ」
僕はそう言って顔を逸らす。
「じゃあ・・・話し続けていい・・・?」
そう言って楓は歩き出す。
それにつられて僕も歩く。
「うん。いいよ・・・」
「あのカップルうちのクラスの人たちなんだけど、学校中で有名なカップルなんだよね」
「有名って・・・?」
「学校一のイケメン男子と学校一の美人さんが付き合ってるんだから、そりゃあ有名になるさ」
「へぇ~・・・」
そんなすごい人なんだ・・・。
「名前は佐伯夏帆と山岸隼人」
佐伯夏帆・・・やっぱりか・・・。
で、相手は山岸隼人・・・か。
「で、その二人のは過去に何かあるらしいの」
「過去に何かって・・・?」
嫌な胸騒ぎがする。
気がつけば、もう学校の校門をくぐっていた。
「隼人君には、暴力団との絡みでの闇があった」
「闇って・・・?」
なんか穏やかな話じゃない気がする・・・。
「いや・・・深くは知らないんだけどね」
はははっと言って楓は笑う。
「で!!」
楓の声が大きくなった。
「夏帆ちゃんの方は期待して!!」
「う・・・ん・・・」
「夏帆ちゃんには・・・」
そんな話をしているともう職員室の前。
「あ・・・ごめん」
時間的にも、もう行かなくちゃいけない時間だった。
「う~・・・」
楓は少し寂しそうな顔をする。
「また、後で聞くよ」
僕は楓の頭を撫でる。
夏帆の話は気になった。けど、後で聞いても遅くない。
どうせ会うんだし。
「ちょっ・・・やめて・・・」
僕の手を楓は振り払う。
「あ・・・ごめん・・・」
その時の楓の顔はかなり赤かった。