僕は大雨の中由美をお姫様だっこのまま歩き出す。
携帯を取り出して梨香さんに電話しようとするが、
両手がふさがってできない。
そして、歩いているうちに由美は寝てしまった。
熱があるし仕方がないことなんだけど・・・。
それにしても・・・
「由美・・・少し重くないか・・・?」
僕はそう独り言をつぶやいて苦笑する。
「失・・・礼・・・な」
「うおっ!?」
僕は驚いて由美を落としそうになる。
僕は何とか抱えて由美を見る。
可愛らしい寝顔。
どうやら寝言らしかった。
大粒の雨が全身にあたる。
このままだと僕も風邪をひくかもしれない。
夏休み初日から熱があるのは嫌だな・・・。
そんなことを考えてるうちに由美の家に着いた。
と同時に梨香さんが家から出てくる。
おい・・・。あんた外探してるんじゃないのかよ・・・。
「見つけてくれたんですか!?」
梨香さんが笑顔でこっちにくる。
「はい。でも、熱あるので早く早に連れて行ってあげてください」
「すごい熱・・・」
由美の額を触って梨香さんは言った。
「じゃあ、僕はこれで・・・」
由美を梨香さんに渡して僕は踵を返す。
「ありがとうございます」
その梨香さんの声は僕には聞こえなかった。
途端に僕の脳が揺れる。
意識が朦朧とする。
足元がふらつく。
そして僕は、まだ一歩も歩く前・・・
由美の家の前で意識を失い、その場に倒れた。