「夏帆のことは確かに気になる・・・けど、僕の彼女は由美・・・君だよ・・・」
「だからさ・・・」
由美は僕のそばにくる。
目の前に・・・。
そして軽く唇が触れるだけのキスをする。
唇が離れると由美は
「もう・・・無理しなくていいんだって・・・」
由美の頬が濡れている。
けど、それはきっと雨のせいで・・・。
「由美・・・」
「裕樹君・・・大好きだよ・・・」
由美がその言葉を言ったと同時に雨が強くなる。
それは、稀にみるほどの大雨。
「けど・・・もうお別れかな・・・」
由美は空を見上げる。
由美の顔が濡れる。
けど、由美は気にしない。
「裕樹君は星と一緒・・・」
「え・・・?」
「私には遠くにしか見えない。今みたいな時はその光すら見えない。もう・・・手の届かない人なんだよ・・・」
「なんで・・・そう決めつけるんだよ・・・僕は由美のこと・・・」
「夏帆は・・・」
またしても、由美は僕の言葉を遮る。
「新潟にいる。確かそう聞いた。別に会えない距離じゃないよ。今度行ってきなよ・・・」
「由美は・・・僕と別れたい・・・?」
「裕樹君が夏帆を見続ける限り・・・私の上に夏帆がいる限り・・・一緒にいても意味ないよ・・・」
「上にはいない・・・由美と夏帆は違う。僕の好きな人は由美だ・・・」
「そんなの信じられる訳ないじゃん!!」
由美が泣きながら叫ぶ。
由美の体が震える。
そんな彼女を僕は抱きしめた。
「僕は君が好きだ・・・」
そう言った時、由美の震えが止まった。
「ありがとう・・・」
由美が僕の背中に手を回す。
この時僕は最低な嘘をついた。
こんなことを言えば、さらに彼女を傷つけるのに・・・。
それでも、僕は由美にそばにいてほしかったんだ・・・。
この選択が・・・最終的にどんな結末を生むかこの時の僕はまだ知らない。
もし、知ってたら・・・僕はこんな嘘をついただろうか・・・?