40話 優しさの意味 | love storys  ~17歳、私と君と。~

love storys  ~17歳、私と君と。~

どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

暑苦しい体育館での終業式が終わり、明日から夏休みになる。


そして、下校時間。


みんな相変わらず、無言で教室を出ていく。


他のクラスは笑い声などが多いのに。


「ねえ、裕樹君。一緒に帰ろ?」


「ああ、うん」


あまり、乗り気ではなかった。


というより、後ろめたさがあった。


僕は由美が好きだ。


けど、それ以上に・・・夏帆のことが好きなのだから。


帰り道、由美がひたすら話題を振る。


それに僕は相槌を打つだけ。


時折、一条の風が突風のように吹く。


夏にしては珍しい風。


涼しくてみんなにはいいかもしれない。


けれど、今の僕にはその風が煩わしく感じる。


そして、何度目かわからないその風が吹いた時、


ふいに由美は立ち止まった。


「どうした?」


僕もつられるように足を止める。


「裕樹君・・・」


由美はそう言いながら、僕の手を握る。


そして、僕の肩に額をコツン、と当てて下を向く。


「私たち・・・恋人だよね・・・?」


由美・・・。泣いてる・・・?


「うん。恋人だよ・・・」


僕はそう言ってもう片方の手を由美の頭の上に置く。


「ありがとう・・・」


由美は頭を上げる。


「ねえ・・・裕樹君・・・」


「何・・・?」


僕が聞くと、由美は3歩ほど歩いて空を見上げた。


「君は優しいよ・・・」


「え・・・?」


「けど・・・」


由美は僕の方を見る。


「けど、優しさってね・・・時に人を傷つけることもあるんだよ・・・」


そして、また一条の突風が吹く。


その風は僕と由美の間を通ったような気がした・・・。