『じゃあ、帰ろっか?』
キスが終わった後、僕は立ち上がる。
そして、彼女に手を差しのべる。
『うん。そうだね』
夏帆は僕の手を掴んで立ち上がる。
『もう朝だな』
空を見て僕は言う。
『絶対怒られるなぁ~』
夏帆は背伸びをして笑う。
『夏帆の家は厳しいからな。まあ、一緒に言い訳考えよっか』
そう言って、僕は歩きだす。
『うん。ありがと』
夏帆は小走りして僕の隣に並ぶ。
僕らは自然に・・・何の違和感もなく手を握る。
昨日まではすごくぎこちなかったのに、あの時のおかげで
違和感がなくなった。
『裕樹君の手・・・少し冷たいなぁ・・・』
『手が冷たい人は心が温かいんだぜ』
『何それ。じゃあ、私の心が冷たいってこと~?』
『まあ、そういうことだ』
そんなバカな会話をしながら都会の街並みに入る。
人通りが結構多い。
これが、日曜日の昼間とかならもっと多いんだろうな。
時計を見ながら、走る学生。
色々な人がいる。
『人多いね~』
『そうだな。まだ平日の朝なのにな』
僕らが横断歩道を渡るその時、人通りが減った。
そう・・・。その瞬間だけ・・・。
その時だけ・・・『君』の手が僕の手から離れる。
そして・・・大きなブレーキ音が聞こえた・・・。