「じゃあ、帰るね」
僕はベッドから起き上がり由美にそう告げる。
「え~・・・もう帰っちゃうの?」
由美が寂しそうな顔を浮かべる。
「もう30分くらいいるんだけど・・・」
「まだ30分じゃん!!」
「使用人さんがいい加減不思議に思うだろうが」
「む~・・・」
「明日、由美が学校くれば会えるよ」
「やだな~・・・学校・・・あの雰囲気嫌い・・・」
「そりゃあ、俺もだけど・・・」
「明日、デートしたいな・・・」
「は?平日だぜ?」
「学校サボってさ」
「無理。僕は由美と違って頭良くないんで」
「何それ?嫌み~?」
由美が不満そうに僕を見る。
「うん。嫌み」
僕がそう言って笑うと由美が
「む~」
といって頬をふくらます。
「じゃあ、帰るね」
僕がそう言って由美に背中を向ける。
「じゃあさ!!」
由美の声がして、僕は振り返る。
「何?」
「今週の日曜日デートしよ!!」
由美の顔が赤くなる。
「わかった」
僕はただ一言そう告げて由美の部屋を出る。
階段を下りてすぐ側にさっきの使用人さんがいた。
「日曜日デートするんですか?」
使用人さんは笑いながら僕に尋ねる。
「聞こえてたんですか?」
「はい。大概は」
「あはは・・・」
僕は思わず苦笑する。
「ダメですよ。そういうのは聞かれないようにしないと」
そう言って使用人さんはウインクする。
「え・・・?」
今、彼女の顔が『君』に重なった・・・。
そう。
最初から違和感があったんだ。
仕草や行動、癖・・・。
この使用人さんは『君』にそっくりだ・・・。