僕はゆっくり由美から唇を離す。
「・・・それだけ?」
由美は物足りなさそうに僕を見る。
「風邪・・・引いてんだろ?」
僕はそう言って、由美の額に自分の額を当てる。
「やっぱ、少し熱いね・・・」
「そう?おっかしいなぁ・・・」
「何が?」
僕は、由美から額を離し、聞く。
「ただ、サボっただけだよ」
由美は笑いながらそう言う。
「おいおい。授業ついていけなくなるぞ?」
「私は裕樹君より頭いいから大丈夫です」
由美は可愛らしく舌を出す。
「うっざぁ~」
「私がいなくて、寂しかった?」
「まったく!!いつも通り、ぜんぜんかわらなかったよ」
僕の小さな強がり。
「う~・・・」
由美はぷくっと頬をふくらます。
そして、何かいいことを思いついたように笑顔を浮かべ
「ちょっとこっち来て」
僕に手招きする。
充分近い距離なのにこれ以上近くにいってどうするんだ・・・?
僕はそんな疑問を抱きながら近くに行く。
「もっと・・・」
「これ以上は無理だぜ?ベッドで進めないよ」
「じゃあ、これでどうだ!!」
由美が僕に抱きついてくる。
「うわっ!!」
僕の下半身が崩れる。
真美が僕を自分の方に引っ張る。
何が起きたのかわからない・・・。
そして、気付いた時には、僕は真美の隣で横になっていた。
由美の両手は僕の背中にまわされていて、
強引に引き離さない限り離れられない。
「これで・・・私の存在が君の中で大きくなりましたか?」
由美の顔が目の前にある。
少し顔を近づけただけでキスできる距離。
「由美の存在は誰よりも大きいよ・・・」
僕はキスをせず、ただ強く抱きしめる。
この時、僕は『君』のことを完全に忘れていた・・・。