「どうぞ」
感じのいい使用人さんに案内されて僕は家の中に入る。
「お邪魔します・・・」
そして、僕はその後言葉を失う。
玄関にいきなり大きなシャンデリア・・・。
住む世界が違うと、入った第一印象で分かった。
「ふふっ。大丈夫ですよ。見た目だけで、そこまでお金持ちの家ではないので」
「あ・・・はい・・・」
使用人さんはそういうが、お金持ちの基準が違いそうだ・・・。
「ところで、一つ質問してもよろしいでしょうか?」
使用人さんは笑顔で僕に聞く。
「なんですか?」
「あなたは由美お嬢様の彼氏さんですか?」
「え!?いや・・・多分違います・・・」
僕の声が少し裏返る。
「そうですか。今は絵梨様も宗治様もいらっしゃらないので上がっていかれますか?」
まるで、何もかも悟ったかのよう。
多分、二人の名前は由美の両親の名前だろう・・・。
「え・・・いいんですか?」
「はい。きっと由美お嬢様も喜ばれると思います」
そう言って、来客用のスリッパを用意してくれる。
「よく私に言ってくれるんです」
階段を上がりながら、少し崩した敬語で使用人さんは言った。
「何をですか?」
「クラスに好きな人がいるって。それで・・・」
「それで・・・?」
僕が先を諭すと、使用人さんは階段の途中で僕の方に振り向き、
いたずらっぽい笑顔を浮かべ
「その人と、昨日キスしたんだって言ってましたよ」
それを聞いた途端、僕の顔が赤くなる。
「な・・・」
「やっぱりビンゴでしたか。あなたがその人だったんですね」
使用人さんはそう言って僕に笑顔を向ける。
そして
「頑張ってくださいね。由美お嬢様のためにも」
そう言って、また階段を上がっていく。