88話 君に届け・・・ | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

無意識のうちに僕は真美の方へ走り出す。


飛び降りた真美の手をギリギリのところで掴む。


そして、もう片方の手で手すりを掴んだ。


真美の下は死への通路。


今、もし僕が手を離すようなことがあれば、


真美はその通路を通り、存在しない世界


に行ってしまうだろう。


そう。真美の命綱は僕の右手だけ・・・。


「・・・っ」


真美を掴んだ手、腕が震えだす。


だんだん力が入らなくなっていくのを感じる。


とてもじゃないが、真美を引っ張り上げられそうもない。


どうすればいい・・・?


どうすれば真美を助けられる・・・?


「拓也・・・無理しなくていいよ・・・。このままだと拓也も一緒に落ちちゃうよ・・・」


「真美が落ちたら僕も落ちる」


「なんで・・・お願いだから、拓也は生き・・・」


「ねぇ・・・」


僕は真美の言葉を遮る。


「くっ・・・」


腕が悲鳴を上げる。


「残された人の気持ち考えたことある?」


「え・・・?」


「死ぬ方はそれで終わりだけど、生きている方はその人の死を背負って生きていくんだぜ?病死ならまだいい。けど、この方法ならみんな真美への後悔と懺悔が残る。なんで、君が自殺したのか・・・。自分のせいもあるんじゃないかってな・・・」


「・・・っ」


真美は複雑な顔を浮かべる。


「まあ、そんなのは綺麗事だけどな」


僕は笑う。


「え・・・?」


真美はあっけにとられたかのような顔をした。


「ホントの理由はさ・・・。やっぱ真美に触れていたい・・・。声が聞きたいんだ・・・。自己中なお願いだって分かってる・・・。だけど・・・生きてほしいんだ・・・」


「私だって君に触れていたい・・・キスしたい・・・もっと声が聞きたい・・・けど、ごめんね・・・」


真美がもう片方の手何かを探し当てた。


それは・・・


真美が愛用していたボールペンだった。