87話 君の気持ち | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

「じゃあ、ここに来た理由でも話そうか・・・」


真美が僕の方を見る。


「ここに来た理由はさ・・・」


真美は歩きだして、建物ぎりぎりのところまで


行って、てすりを乗り越えそこに立つ。


足場はほとんどない。


真美はそこから、反転して僕の方を向いた。


そして笑顔で、


「ここで死ぬためだよ」


そう言った。


少しでも、後ろに体を反らせば、一歩でも


足を動かせば、12階という間違いなく死んでしまう


高さから落ちるだろう。


「真美・・・。なんで今死のうとするんだ・・・?まだ、生きられるのに・・・」


「拓也には分からないだろうね・・・。がんになった人の苦しみが。もう死ぬって分かってて、あんな苦しい思いはしたくない。今までは、まだ生きられるかもってそんな励みがあったからまだ耐えられた!!けど・・・余命を知ってしまった今は・・・もう耐えられない・・・」


真美の目からは涙がこぼれ落ちる。


「真美・・・」


「だったら!!だったらもう死んでしまえばいい。さっき河川敷で言ったよね・・・。もう最後のキスだって・・・。病院に戻ればまた君とキスできるかもしれない・・・。けど・・・ごめん。今の私はもうキスだけじゃがんの辛さには耐えきれない・・・」


「・・・っ」


僕は何も言えない。


言えるはずがないんだ・・・。


僕には真美の辛さが分からないのだから・・・。


「でも・・・」


真美は涙を流しながら笑顔を見せた。


「今日は本当に楽しかったよ。『拓也お兄ちゃん』とのデート。何度も触れあって、何度もキスをして、そして・・・一つになって・・・今までありがとう・・・」


真美はそう言って、僕に背を向けた。


「真美!!やめろ!!」


真美には僕の声が届かない。


そして・・・真美は踏み場のない一歩先に足を踏み出した。