機体が少しずつ上昇する。
「ねぇ・・・拓也・・・」
「ん・・・?」
「隣に座っていいかな・・・?」
真美は顔を紅潮させてそう言った。
僕は左側にずれて
「うん」
と頷いた。
「ありがと」
そう言って、真美が隣に座る。
そして、真美が僕の手を握ったその瞬間、
僕は思わず真美を抱きしめる。
無意識にだが、もう決めていたことなのかもしれない。
次に真美が僕の温もりを求めてきた時、
僕は真美を優しく包みこむということ・・・。
「拓也・・・キスしてほしい・・・」
その言葉を聞いたと同時に僕は真美にキスをした。
お互いに唇を離そうとはしない。
中間地点である、一番上を機体が通過する。
時間はあと五分くらい。
このまま真美の温もりを感じながら、
最後のデートを終わらせるのもいいかもしれない。
とか、バカな考えをしている間に真美が唇を離す。
「拓也、大好きだよ」
真美はそう言って僕にもう一度抱きつき、
今度は少しの時間・・・ほんの数秒キスをした。
そして僕らは何も言わずに見つめ合う。
その時、機体のドアが開いて、
僕らの最後のデートが終わった。