僕らは、無言でお互い顔を赤くしながら見つめ合う。
そして、真美がその視線に耐えられなくなり、
顔をそむけて服を着る。
二人とも、服を着た後、無言のまま店の外に出る。
陽はまだ高い位置にある。
こんな時間帯に・・・。
僕らは、お互いの手にすら触れず、
ただ隣にならんで歩く。
さっきまで、握っていた手が、すごく握りづらい・・・。
「ねぇ・・・拓也・・・」
真美がそう言って、僕の手を握った。
「何・・・?」
「ありがとう」
真美は視線を逸らして言った。
その恥ずかしがる顔がいとおしく感じる。
いつもの僕なら、間違いなくそんな君にキスをしてるだろう。
けど、今はさすがにそんな勇気はない。
「まだ・・・時間あるかな?」
「ん~・・・」
僕は携帯を開いて、時間を確認する。
3時30分。
まだ時間はある。
「あと、一か所近場ならいけるよ」
「じゃあ、やっぱ最後は観覧車に乗りたいな」
観覧車好きだな・・・。
そして、都合良く近いところに遊園地がある。
小規模ではあるが・・・。
けど、小規模のおかげで人は少なく、スムーズに
観覧車に乗ることができた。
また、吐血とかしなければいいけど・・・。
そんな一抹の不安を抱えて、
二人で行く最後の観覧車が上昇する。
このボックスが地上に降りたら、僕らのデートは終了する。
それまで、約10分間。
この10分間はどんな10分間より
短く感じるだろう。