「真美さんの助かる可能性は低いと思われます・・・」
「低い・・・?どの程度ですか?」
僕は聞く。
「わかりません・・・。ただ、とりあえず月単位で考えてください」
医師は低い声で言う。
「月単位って・・・?」
「最悪の場合、死ぬ可能性の話です。とりあえず、月単位でわかってくると思います」
「なんだそりゃ・・・」
「とりあえず、最善の努力はしようとは思っています。抗がん剤を打って、とりあえずは当分安静にしてもらいます」
「それで助かるんですか・・・?」
母さんが心配そうな表情で言った。
「最善の努力と言いませんでしたか?可能性は低いです。来た時には、すでにがんはかなり進行していました。それに、がんは繁殖や進行が早いのでかなり危険です」
「そんな・・・」
「とりあえず、数日は様子を見てから、抗がん剤などを投入していきます。今日はいったん真美さんに会ってあげてから、帰ってください。今は、病室で起きているはずだと思うので」
「はい」
僕らは、頷き部屋を出て真美のいる病室に向かう。
「なあ、真美が言ってたけど、あんたらは離婚してないのか?」
病院の廊下を歩きながら、僕は聞く。
「離婚したわよ」
あっさりと言った。
「真美が、離婚してないって・・・」
「あの子が見ていないときに、父さんと二人で決めたんだよ。だから、名字だって違うし」
なるほど・・・。
そして、真美の病室の前まで来る。
どんな表情をして真美の前に立てばいいんだろうか・・・?
笑顔で・・・心配ないというような表情で・・・
そう思っていたとき、「月単位」という医師の
言葉を思い出し、笑顔が崩れる・・・。
「暗い表情はしちゃだめよ、拓也」
そう言った母さんの表情にはまったく笑顔がない。
「まず、あんたが笑顔になれよ」
僕はそう言って笑った後、病室のドアを開ける。