『わかった』
送った直後にそう返事が返ってきた。
雨はさらに勢いを増す。
ただ風はない。完全なる無風。
もし、強風なら天気予報でただの雨と言っていても、
僕は台風だと信じて疑わなかっただろう。
その時、傘をさした人影がこの公園に入ってくる。
間違えなくそれは真美。
この時、真美がこの公園に現われた時、
思わず聞いてしまった。
真美の声を遮って。
「ここで、何があった?」
「え・・・?」
「あの公園っていっただけで真美はこの公園だって分かった。てことはこの公園でなんかあったんだよね?それって何?」
少し口調が強くなるのを自分でもわかる。
「それを聞くために私をこんな雨の中呼び出したの?」
真美は少し不服そうな顔をする。
「いや・・・そういう訳じゃないけど・・・」
僕は言葉を濁す。
「・・・昔・・・」
真美が話を始める。
「そう。丁度このくらいの雨が降ってた時さ、君が何かをこの公園で失くしたって言ってさ、それを探しに君が雨の中、この公園にきたんんだよ。それがなんだかは覚えてないんだけど。君がとても大事にしてたものらしいんだよね。あ、違う。拓也は私にそれがなにか教えてくれなかったんだよ」
「・・・僕が・・・?」
「うん。それで結局みつからなくて、私が君を迎えに行った。ただそれだけだよ」
「それだけ?それだけのことで真美はそんな昔のことを覚えてたの?」
「いや・・・そのあとのことが・・・さ」
真美は顔を赤くして、視線を逸らした。
「そのあと・・・?」
「慰めてたら、君が急にキスしてきたんだよ。ありがとうって言って」
「じゃあ、河川敷の時はファーストじゃなかったんだ?」
「小さい時は数えないでしょ?普通」
「そっか。でも小さい時そんな僕が大胆だったなんてな~」
僕は空を見上げる。
雨は一向にやむ気配はない。
「ていうか、寒くないの?傘もささないで・・・」
「じゃあ、温めてよ」
「どうやって?」
真美が途方に暮れている。
「こうやって」
僕はそういって真美にキスをする。
真美の手から傘が落ちる。
ここが、ほんとうのファーストキスの場所なのだと
改めて実感しながら、真美の温もりに触れるんだ・・・。