29話 けじめ | love storys  ~17歳、私と君と。~

love storys  ~17歳、私と君と。~

どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

「ありがとう。高木君」


歩きながら、真美は幸一に一礼する。


なんか、僕の時と違うような気がする。


「幸一でいいよ。みんな、そう呼んでるし」


「ん。じゃあ、ありがとう幸一君」


その言葉を素直に承諾して、


真美は幸一に笑顔を見せる。


途端に、幸一の顔が赤くなる。


そんな二人の5m後ろ・・・


すぐ後ろだ。


そこに僕はいた。


二人の後ろを気配がしないように歩く。


そうすることで、二人はすぐ後ろにいる


僕に気づかないんだ。


「あ、あのさ・・・。質問していいかな?」


少し、声を抑えて幸一は言った。


「うん。いいよ」


「川島さんって、拓也と付き合ってる?」


その、言葉で真美が複雑な表情を浮かべる。


それに気づいた幸一は


「ごめん。言いたくないよね・・・?」


「いや、大丈夫だよ」


そう言って真美は笑顔をみせる。


「拓也とは付き合ってないよ。私たち兄妹だから」


真美が放った僕達の『恋愛関係』を壊す爆弾。


その爆弾は、


とても小さく簡単に放つことが簡単にできる。


けれど、後戻りはできないほど強い威力を持った爆弾。


みんなの心に残り、そう簡単には忘れることのできない


記憶となる。


そんな、記憶の欠片となる爆弾だ。


投じれば、僕達はもう、過去に戻ることはない。


けど、それはお互い覚悟している。


だから、真美はいとも簡単にこの爆弾を投じたんだ。


「え・・・?だって名字違うのに・・・?」


幸一は驚いている。


まあ、一般人の反応だ。


親友に双子の妹がいて、その女の子が急に転校してきて、


今その女の子とこうやって話しているのだから。


「話せば長くなるからこれ以上は言わない」


そう言って真美はこの話を終わりにする。


そう。もう効果は得られたのだから。


この情報を知らせたことで、


爆弾が爆発したのと同じ。


仮定なんて話す必要なんてないのだから・・・。


あとは、爆弾の後遺症が広まるだけ。


これが、きっと彼女が示した


『けじめ』


なのかもしれない。