別れなくちゃいけない。
そんなことは分かってる。
けど・・・
相思相愛の僕らは付き合うことはできない・・・。
なのに、真美は付き合いたいと言っている。
その言葉は嬉しいと同時に僕を苦しめるんだ。
真美がいっそ、僕のことが嫌いと言ってくれたのなら・・・
そしたら・・・諦めることは容易にできた。
諦めるきっかけがほしい・・・。
「真美・・・。だめだって・・・」
自分の気持ちを闇の奥底に閉じ込めて鍵をかける。
けど・・・そこ鍵はもろく、今にも開いてしまいそうだ・・・。
なら、なんで僕はもっと頑丈な鍵をかけない?
かけられないんだ・・・。
自分の気持ちは自分の意思で、できていて
鍵も自分の意思によるものだから・・・。
頑丈な鍵はかけられない・・・。
もし・・・もう一度真美が僕の心を動かす言葉を言ったら、
扉が開き、僕は真美にキスをするだろう・・・。
「だめ・・・?じゃあ、私のことが・・・嫌い?」
「ああ。こうやってしつこく言ってくる女は嫌いだ」
下を向いて僕は言った。
胸が痛む。
これが、僕の選んだ『諦めるきっかけ』
自分で作ることを決めたんだ・・・。
「今の私は嫌い・・・なの?」
顔を見ないでも分かる。
きっと・・・寂しい表情をしていて、
目からは涙が流れているだろう・・・。
「前・・・さっき言った通り、君のことが好きだった・・・。けど、今の真美は嫌いだ。だから・・・もう別れよ・・・?」
真美は分かってる。
僕が嫌いって言ってるのが本音じゃないってことぐらい。
だって、つい数分前まで好きだって言っていたんだから・・・。
「・・・分かったよ。じゃあ、別れよう。あと、兄妹として・・・。よろしく、拓也」
そう言って僕に手を差し伸べる。
「うん」
僕は彼女の手を握る。
それは彼女としてじゃなく妹として・・・。
だから、キスはしない。
キスをしたら兄妹じゃなくなるから・・・。
その後、真美は手を離して
「じゃあ、また明日。学校で」
真美はそう言って笑顔で僕に手を振る。
けど、その笑顔は必死で作った作り笑顔。
瞳は涙でぬれている。
「じゃあね。真美。」
そう言って僕も手を振り返す。
「拓也。大嫌いだから!!」
真美は舌を出してそう言い、走って外へ出で行った。
これからは真美の温もりを求めてはいけない。
兄妹として接するのだから・・・。
お互いに悪口を言い合ったり、
仲良く話をしたりして
理想的な兄妹となれるように・・・。
そして、決して恋愛感情を持たないように・・・
僕は真美に対する想いを闇の奥底に沈めて
重い鍵をかけた。