確か、この水族館にきたのは五歳のころ。
まだ両親の仲はぎりぎりではあるが、
保たれていて、、真美の希望で水族館に行くことになったんだ。
多分、真美は別に水族館に行きたかったわけじゃない。
この水族館で、両親の仲が少しでもよくなればいいなと
思ってのことだった。
五歳でそこまで考えることができる真美はすごいと思う。
そのころ、外で遊ぶことしか考えていなかった僕と、
どこか大人びた雰囲気を持った真美。
兄妹なのに何故こうも違ったのだろうか?
そして、娘の意見を聞いた両親は喜んで了承した。
なぜ、了承したかだって?
その頃の真美は自分から「どこか行こう」
と言うことはなかった。
たいがいは、僕が希望をだしていた。
その希望をだしても、真美は乗り気じゃなかったし・・・。
そんな、真美からの希望。
親が受け入れないはずがなかった。
水族館につき、歩いていると、
突然口論がはじまった。
きっかけは覚えていない。
その時の口論で気分を悪くした母が、
先を歩いていく。
父がそれを追いかける。
僕達、五歳の歩くスピードや走るスピードでは
まったく追いつくはずもなく迷子になる。
そう・・・あの時に映った映像はきっとこの時の・・・
そして、いつになく不安そうになっていた真美に
「大丈夫。僕が真美が守るから」
といったのを覚えてる。
今、思い出してみれば、
ずいぶん恥ずかしいことをいってる。
「拓也・・・。ありがと」
「僕は真美が好きだから・・・」
妹になんてことを・・・
「じゃあ、将来、拓也のお嫁さんにしてくれる?」
真美が赤面しながら聞いてきたんだ。
「うん」
と僕は笑顔で言ったんだ。
その頃の僕たちはまだ、『兄妹』での恋愛にあんまり
罪悪感はなかった。
というより、『兄妹』での恋愛がいけないことだとは
知らなかった。
それに、あれが恋愛なのか・・・?
と聞かれれば、否定も肯定もできない。
真美が変わったのはそこから・・・。
あの頃の大人びた感じはなくなり、
可愛らしい女の子になった。
けれど、そのあと両親の離婚が成立して
僕たちは離ればなれになったんだ・・・。
そして、あの電車で偶然にも出会い、
同じ学校に通って・・・
君に恋に落ちたんだ・・・。