「おはよう」
僕は笑顔で香織にそう言った。
「ずいぶん、機嫌がいいんだね」
驚いたような顔で香織はそう言った。
「ほんとだよ・・・こんな朝から・・・。しかも一限目、数学だぜ?普通テンション下がるだろ」
幸一が欠伸をしながら言う。
「別に・・・。数学嫌いじゃないし・・・」
僕は視線を逸らす。
「なにかあった?」
香織が聞いてくる。
「何もないよ。ただ朝のサイクリングが気持ちよくてな」
「本当の理由は?」
幸一・・・。
信じてないらしい。
「何もないって」
僕がそう言った時、真美が教室に入ってきた。
そして目が合って、互いに顔が赤くなる。
僕は、それが誰かに気づかれる前に視線を逸らした。
真美はゆっくり歩いて、僕の隣の席に座った。
「川島さん、おはよう」
幸一と香織が同時に言った。
「おはよ。高木君と今井さん」
お上品さを全く感じられない少し高い声。
まあ、お上品さがあるのは嫌だからいいんだけど・・・。
そして、彼女は僕の方を向く。
「おはよ。拓也君」
少し、ぎこちなく真美はそう言った。
「おはよう。真美」
僕は笑顔でそう返した。
すると真美は嬉しそうに
「うん」
と答えた。
こんなささやかな挨拶が楽しいと感じられる僕はバカなんだろうか・・・?
****************
昼休みになり、僕はいつも通り屋上に行った。
けれど、いつもとは違うことが一つ。
隣に真美がいるから。
幸一によると、僕と真美が付き合っているという噂がすごいらしい。
さすが学校だ・・・・。
ドアを開けて外に出る。風があたる。
今日の風は少し温かかった。
まるで、僕らを歓迎してるよう・・・。
僕は、壁に寄りかかり、地面に座る。
そして、朝買ってきたパンを食べる。
「拓也君いつもパンなの?」
真美が隣に座って僕に尋ねる。
「たまに・・・だけど・・・」
「じゃあさ、私が作ってきてあげようか?」
可愛らしい笑顔。
僕の顔が赤くなるのが自覚できた。
「えっ!?本気?てか、料理作れるの?」
「これ、見てみなさい!!」
そう言って、真美は僕に自分の弁当を自慢気に僕に見せてくる。
たしかに・・・。綺麗に整った弁当だった。
「じゃあ、明日から期待してるよ!!」
僕は笑顔でそう言って、真美にキスした。
「ふぇ!?なな・・・と、当然は反則だよ」
真美の顔がすごく赤くなってた。
恥じらってる顔がとても可愛らしい。
「じゃあ・・・キスするよ?」
彼女の目を見て、そう言った。
真美は下を向きながら
「うん」
と言って目を閉じた。
そして、また僕と真美の唇が重なる。
三分、五分・・・ずっと・・・。
舌を入れることはない。
ただ・・・ずっとお互いの温もりを感じてるだけ・・・。