彼女は僕に気づき、こっちを向いた。
やっぱり、そこにいたのは真美だった。
「屋上って立ち入り禁止だぜ?」
少し距離が離れているから大きい声で僕は言った。
「知ってるよ。けど、風にあたりたくて・・・」
「そっか」
僕はそう言って真美の方に行き、彼女のとなりで柵に肘をのせて外を見た。
朝降っていた雨がまるで嘘のように晴れ渡っている。
もし、この天気が朝から続いていたら、僕たちはこうして話すことはできたのだろうか・・・?
いつものように自転車で学校で向かっていたら、接点は間違いなくなかった。
ただ、席が隣ってだけで、たまに話すぐらいかもしれない。
けれど、現に雨はその時降って、僕は電車に乗って、真美を痴漢から助けて、僕は彼女をいつの間にか好きになっていた。
この出来事は、雨が降らなかったら、間違いなく起こらなかっただろう。
「拓也君こそ何してるの?」
真美がふいに聞いてくる。
「ここは僕の特等席だよ」
僕は冗談交じりにそう言った。
「お昼は一人で屋上で食べてるの?」
「うん」
「・・・友達いないの?」
真美は少し悲しい表情で言った。
「失礼な・・・。いるけど、昼休みぐらい、一人でゆっくり過ごしたいんだよ。風にあたりながらな」
「じゃあ、私は邪魔?」
真美はそう言って苦笑する。
「いや・・・二人もいいかもな屋上に男女二人きり・・・。なんかあこがれるじゃん」
僕はそう言って地面に座る。地面とはいっても屋上のだけど・・・。
少し冷たい。
「それが恋人同士なら・・・ね」
真美が僕の隣に座り、肩と肩がかすかにあたった。
「そうだな・・・じゃあ・・・・・・・・・・・」
もう、僕から言おうと決心がついた。
そして、二人に、さっきとは違う優しい風があたる。