9話 恋の定理 | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

真美は僕のことが好き・・・。


自意識過剰とかじゃなく、多分そうだ・・・。


けど・・・じゃあなんで?


初恋の人に似ているからじゃないって真美は言った。


なら、僕が真美を痴漢から助けたから?


それだけのことで人の心は動くのだろうか・・・?


一つの出来事がきっかけで人の心は動くと聞いたことがある。


いつもとは違う一面を見せた時、心が動くかもしれない。もしかしたら、些細な動作や仕種だけで・・・って可能性だってある。


まあ、人の価値観は人それぞれだけど・・・。


少しずつ気持ちが傾いていって・・・とかいつのまにか・・・とかだってありえる。


そう考えた時、痴漢から助けたという行為はとても尊く、頼りになる存在なのかもしれない。


そんな恋について深く考えている自分に思わず苦笑する。


だって、隣に張本人がいて、なおかつ授業を全く聞かずにこんなことを考えているのだから・・・。


その時後ろから、肩を叩かれる。


「拓也に考え事は似合わないな。体を動かすのが似合う人なんだから」


幼馴染の今井香織だった。


幼馴染・・・とはいっても小学校からの付き合いってだけ・・・。


両親の離婚という状況で完全に生気を失っていたころの自分に積極的に話しかけてかけてくれた女の子。


そう。僕の記憶の中で一番古い記憶だ。


香織はとても話しやすくてすぐに友達になれた。僕の最初の友達だ。


「余計なお世話だよ」


休み時間になり、いつもより少し騒がしくなった教室。その原因はもちろん真美への多種多様な質問だ。


僕の小さな声は香織に聞こえただろうか。


「心配してあげてんの。何かあったの?相談にのるけど・・・」


どうやら、聞こえていたらしい。まあ、後ろの席だからな・・・。


それにしても、席順には何かの思惑を感じざるおえない。


僕の右に真美がいて、後ろに香織。そして真美の後ろには幸一・・・。


何かが・・・起きそうな気がするんだ・・・。