4話 いとおしさを感じて | love storys  ~17歳、私と君と。~

love storys  ~17歳、私と君と。~

どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

心臓の高鳴りが止まらない。止まるはずがない。


なんていったって、可愛い女の子が隣にいて、なおかつ相合傘をしているのだから。


学校までのこの十分間、今までのなかで一番楽しい十分間になるかもしれない。


なんてこと考えている自分はどうなんだ・・・?


きっと彼女はそんなこと考えていないだろう。


僕が傘を取った後、少し無言になる。


この無言が余計に緊張する。僕は横目で彼女を見た。


すごく整った顔立ち。けど、なにか違和感を感じる。


なんだろう?・・・あっ・・・


思い出した。


そう、電車の中で感じた、どこかで見たことがあるとは少し違う。


初恋の人に似てるってだけだ。


特に接点があるわけじゃない。


そして、それは幼稚園の頃。


そのころの面影が一瞬彼女に重なっただけ。


それに、好きになった理由も覚えてない。


そのころは、親の離婚騒動があったから。


理由は父さんの浮気と酒。


母さんはそれに見かねて、妹を連れて家を出て、実家に帰った。


けど、僕は連れて行かなかった。面倒をみるのが大変だったのかもしれない。


そのころの記憶はほとんど覚えていない。


小さいころの僕には、このめまぐるしく変わる変化についていけなかったから。


だから、この話もすべて本当とは限らない。父から聞いた話なのだから。


あの頃の記憶で覚えてることは二つ。


「将来お嫁さんにしてくれる?」


と初恋の女の子が言ったこと。


確かこのとき僕は「うん」と言ったのを覚えてる。


もうひとつはうっすら覚えている彼女の顔・・・ぐらい。


名前も覚えていない。


現に、妹の名前すらもう覚えていないのだから。


父さんにきいたら「もう昔のことだ。会うこともないし忘れろ」と言われた。


けど、今の父は浮気したり、酒を大量に飲んだりはしない。


僕には昔の父が想像できない。


今はとても優しくて、息子想い。


家事はなれてないものの、僕が小学校にいたころよりは上達してる。


ここに、妹と母さんがいたらどんなに幸せだろうか・・・。


そして、初恋の彼女が・・・。


「あの・・・聞いてます?」


彼女の声で僕は我に返る。


「あ・・・ごめん、考え事してた。何?」


「何年生ですか?」


「二年だけど」


「同じなんだ!!よろしく」


彼女は手を叩いて喜んだ。


「うん・・?」


「何組?」


彼女の質問攻めにあう。


「二組だよ」


「同じクラス!!わあ、なんか運命感じますね!!」


「え・・・?転校生?」


今、その事実に僕は気づく。


てっきり、ほかのクラスの知らない女子かと思った。


「あ、ほかのクラスにいた影薄い女子だと思ってました?女子の顔ぐらい覚えてないと。嫌われますよ?」


意地悪そうに彼女は言った。


この時の彼女の表情に一瞬、ドキッとした。 


変わってる・・・。僕は苦笑した。


「そうだね。まあ、今後よろしく」


「はい。あの・・・名前教えてください」


彼女の顔が少し紅潮していた。


「須藤拓也。君は?」


「川島真美です。よろしく拓也君?」


名前で呼ばれて心臓が高鳴る。


「うん。よろしく真美」


僕がそういうと彼女が嬉しそうに「はい!」と言った。


その彼女の笑顔にいとおしさを感じた。