『やっと訪れた春に』 | よつば生活 そして本のこと

『やっと訪れた春に』

久しぶりの時代小説


『やっと訪れた春に』

青山文平 祥伝社


青山文平さんは『つまをめとらば』で

2016年に直木賞を受賞された。


この小説は、令和4年、2022年発行。


初・青山文平作品でした。


ある藩の重臣で、

昔馴染みでもある長沢と団藤。

60歳を過ぎて、

2人がほぼお役目を終えたと思っていた矢先に、

分家の殿が暗殺されてしまう。


何の争い事もなく、

穏やかに跡目を譲った殿がなぜ殺されたのか。


ほんの少しの会話や、状況の推理から


団藤と長沢は暗殺した人物を

それぞれ導きだすが……。


お家騒動ではないけれど、

家督や藩がらみで哀しい事件が起きてしまう。


前半から

どんどん読みたくなる展開。


そして、何より

犯人はとても意外な人物。


こわー。


というか、

何で昔のお侍は

こんなにも寡黙なんだろうか。


そして、黙っていても

察する相方。


今の世の中、

言わなきゃ伝わらないというのは当たり前かもしれないけれど、


日本人の美徳とされる奥ゆかしさは

時代小説ではとても自然。


うーーん。

私はお侍にはとてもなれないな。



アンリ・マティス展で