6月2日に神奈川県の知的障害者グループホームで火災が発生し、3人の入居者が死亡した事件を受け、グループホームやケアホームなどへの防火設備の早期設置が求められる中、
東京都が昨年度から実施している障害者グループホームなどの防火設備の整備を助成する事業が、
「スプリンクラーの規格が定まっていない」
「対象となる施設の範囲が明らかでない」
などの理由から、昨年度の実績がゼロになるなど、一向に進んでいないことが明らかになった。
都は、障害者グループホーム・ケアホームについては、「グループホーム等防火設備整備助成事業」として、
スプリンクラー、自動火災報知機、消防機関へ通報する火災報知設備の3つを取り付ける事業所に対して、172万5000円を補助する。
認知症高齢者グループホームに関しては、「認知症高齢者グループホーム防火対策緊急整備支援事業」として、3つの設備のすべて、あるいはいずれかを設置する施設のある市区町村に対して、3つの設備を取り付けた場合は1ユニット290万円を補助している。
昨年度、「グループホーム等防火設備整備助成事業」に4億8300万円、「認知症高齢者グループホーム防火対策緊急整備支援事業」には3億1340万円の予算を計上した。
しかし、「グループホーム等防火設備整備助成事業」は実績がゼロ、「認知症高齢者グループホーム防火対策緊急整備支援事業」は12件(このうち新設11件)、計1458万2000円にとどまっている。
都はこの火災を受け、事業の早期推進を図るため、総務省消防庁予防課長らに緊急要望を提出。
この中で、スプリンクラー整備の基準の詳細や、消防用設備等の整備対象となる事業所の範囲を早急に明らかにすることを求めた。
一方、同庁は昨年12月21日に各都道府県消防主管部長らにあてて、スプリンクラーの基準の詳細が決まるまでの設置基準の目安となる「特定施設水道連結型スプリンクラー設備等に係る当面の運用について」と題する文書を通知。
同課では「スプリンクラーの細目の基準の整備に関しては、現在作業中のため、当面は通知書による対応をお願いし、対応し切れない点については、個別に質問を受ける。
対象となる事業所に関しても、都の職員が緊急要望を提出に訪れた時に説明し、納得していただいた」としている。
しかし、都では、「国が基準を明確にしたわけではないので、要望したことが解決したとは思っていない」としている。