176 無知な勇敢たちに


知らないことだらけです

あれはなぜ動くのか

それはなぜ動くのか

わたしはなぜ動くのか


わたしのことすら知らないで

いまここまで動き続けたわたしは

恐ろしいほど勇敢であるのだと


そしてわたしの全ての周りには

わたしのように勇敢である者が

無数に息をして動き回るのです


わたしはその無数の動きを

いくらか止めることもできるでしょうが

そのようなことはいたしません


それは私の誇りであり

無数の誰かにもそうあってほしいと

そう願うばかりです


しかしわたしは知らぬところで

無数の動きを止めていることを

知っています

知らぬのに知っています

それを知らぬふりをしなくては

わたしは息ができずに

動きを止めるでしょう


わたしはあまりにも身勝手な

無数の動きのひとつです

それでもわたしは

目に見える範囲の無数を大切にして

また今日も動いています


なぜ動くのでしょう

それはそういうことです

ああお許しを

わたしが動くために動きを止めた

無数の者

わたしはこれからも

知らぬふりをして

あなたがたを

見捨てるのです


お許しを お許しを


せめてわたしのような

無知な勇敢たちに

あなたがたに強いたことを

しないよう

わたしが知るところで

しないよういたいものです


ですがしかし、

やはりに

それも難しいのでしょうか

わたしの誇りは

当たり前ではありませんから

無知な勇敢たちは

無知な勇敢たちの動きを止めてしまうでしょう

それをわたしは

無知な勇敢の無数の一つとして

やれ無関係だと

いるのでしょう

わたしだけの誇りに何の意味があるのでしょう


苦しいことばかりです

苦しい苦しい苦しい

何もかもを知らぬふりをしていなくては

苦しいしかないのです


やはりわたしも

無知な勇敢の無数の一つとして

何もかもを知らぬふりをして

その動きが止まらぬようにだけ

必死に知恵を得、

あとはただ、どこかで何かが止まるのを

知らぬふりして

動き続けるのでしょう


身勝手だあ

身勝手だあ


これでもかとこれでもかと

不満を垂れ流すのですよ それなのに


身勝手だあ

身勝手だあ


知らぬふりしてもせめて

知っているのだからと

今、無知にも勇敢に動き続けることを

ただそれだけを

ありがたいことだと思って

わたしは今日も無知な勇敢たちの一つとして動き続けることが正解であると

今はそう信じております。