重く風の押し付けては
倒れんばかりに枝を揺らす
蝶は側道(わきみち)を迷い過ぎ
夏の生命(いのち)を祝福する
草が揺れたと思ったら
鳥が飛び立った
青く健やかな白みがかった空だった
吸い込まれそうな緑の奥まで規則正しく立ち並ぶ
重い緑は時として風を取り溢(こぼ)す
ぽっぽっぽっぽっと光が目に当たる
うば車を押す夫婦がいる
兄弟で追い駆けっこをして過ぎていく子もいる
立ちこぎして自転車に乗った子もある
.
.
蒼白の浸みた空に雲は静かに溶け
風を探り探り出す枝に
うとうとと沈みゆく空気を眺め
車は勢い通り過ぎる
葉陰に実った闇が落ちてくる
.
重く風ののしかかっては
倒れんばかりに枝を押す
風はたわわに実る闇を掴み落とす
葉陰に実った闇を掴み落とす
近くの家で風呂桶の音がした
もうそんな時間か
.
.
夕空は鉛色に沈み落ち
今闇の下を
透き通る声で鳴く虫がいる
夜が静かにわたしの肩にのしかかる
.
.
風は収穫した実りを地へ下(くだ)して渡る
.
奥まった所が真っ暗で
真っ直ぐに続く道が妙に怖く感じられる時がある
夜だと言うのに鳥が鳴き騒いでいる所へ出た
むくどりだ
歩く道の後ろから
鳥の声が追い駆けてくる
.
* * *
.
闇の中に烏(からす)の笑いが聞こえる
.
すっかり風は闇をわし掴みにしてしまった
日に焼け変色した空に
風を探り探り枝を出す
緑は深い眠りから目覚めた
ほころびかけた風をまたより戻して
日射しが突き刺さる
.
空気を背にすくい上げ
蝶が側道(わきみち)を迷い過ぎた
鳥は虫を捕らえて食うために
鋭く鳴き散らして枝を発つ