学生さんと話しをしていて、資源研究に興味があるが、それは同時に環境問題も生んでいる側面があり、矛盾を感じるというコメントがあった。確かにそういう側面はあるが、それに対する回答として、私は以下のようなことを考えている。

=====

今、人類が直面している気候変動の抑止や持続可能な社会の実現のためには、「人類が弥生時代に戻ればいい」という発想もあり得るが、それでは非常に低効率の社会になってしまい、今の世界人口80億人を養うことはできない。もし人類皆平等の原則に立つのであれば、それらの命をつなぐためには、持続可能かつ高効率の社会を実現する必要があり、そのためにはハイテク製品が必要で、その創造には、私のラボで研究をしている「レアアース」から、よりマイナーな「コバルト、テルル、アンチモンなど」の利用が不可欠で、必要性があまり知られていない元素も含めて、様々な元素の挙動を理解し、を活用していくことが必要だと考えられる(例えばhttps://www.nikkei.com/article/DGXLRSP447301_W7A600C1000000/など)。

ただ、これらの資源探査や元素の特性開発には、その開発に伴って環境問題を生まないことも含まれていて、そうした回収・浄化・リサイクルの技術開発も、我々が進める資源科学・環境科学の範疇に入っている訳である。もちろん元素は有機物と違って分解しませんので、リサイクルすることで新たな価値を生むことができる。

そういうことを含めた新しい言葉として、「サーキュラー・エコノミー」

https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/circular_economy_01.html

が重要であることが言われており、我々はそれを実現するために、資源・元素の上流から下流まで、地球化学・環境化学・基礎化学・分析化学の知見を基盤に研究していくことが必要であると考えられし、実際、我々は石炭灰という廃棄物から、レアアースの回収や、医薬品に必須なラジウムの回収などの研究も行っている。またこれらの問題を基礎から扱う上で、「分子地球化学」はとても重要な分野と考えている。
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/info/11129/