ルンルン気分で教室に帰っていく慧梨。戻ってきて慧梨はハッとした。今か今かと慧梨の帰りを待っていた耀子が飛びついてきた。
「ねえ・・・達弥君・・どうだって・・・
」
小さな声で・・・でも気になる様子で耀子は聞いた。慧梨は戸惑いを見せた。言う・・・言わない・・・言う・・・やっぱりいえない・・・。迷いを隠せない慧梨に耀子は心配そうに言った。
「・・・あ・・・いえないことだったら別に・・・
」
ムリして笑顔を作る耀子に慧梨は心が痛んだ。勇気を持って慧梨は次の言葉を口にした。
「ね・・・ねぇ・・・ほ、放課後言うね・・・
」
耀子は不安そうに頷いた。
「ねぇ、田村サン、何だったのぉ
」
乍 陽菜とその仲間達が慧梨にたかってきた。
「あ・・・いや・・・別に・・・何も・・・
」
急に陽菜の顔つきが変わった。
「何も無いことないんじゃない?耀子にも今、いえないことなんでしょぉ
」
可愛くいいながら普通に毒針が混ざったその言葉に慧梨は息を呑んだ。その慧梨の肩をグイッと掴んで陽菜は言った。
「ねぇ?!あたしも放課後、聞いてもいいわよね
」
隣で科草(


) 伊久美(

)が笑った。
「田村サン、やましいことが無いんだし、陽菜ッチ、絶対OKだよん
ねぇ、田村サン
」
確信犯の2人で慧梨は唇を噛んだ。
「あらあら、田村サン、どうしたのぉ
」
笑顔で聞く陽菜に慧梨はとうとう俯いた。
「あんれぇ?田村サン、そのかわゆいお顔を見せて頂戴よん
」
噴出すのを堪えた伊久美にそうからかわれ、慧梨は傷ついた瞳を見せた。陽菜は何か言いたげな顔をしていたが、
「フゥン
」
と慧梨を鼻で笑うと、
「あ~、香苗(

)、ぉっは~
」
と今登校してきた自分の仲間、音色(
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) 香苗に挨拶しにいった。他の人たちも同行した。慧梨は悔しくて机に突っ伏し、それを不安そうに耀子は見ていた・・・。