「ん・・・え?ア、アメリカに居たんだ
」
俺の声にトリシアが顔をしかめた。そうだった・・・トリシアとは出来るだけ縁のない場所へ遠ざかりたくて、
イギリスに行ったと言っていたような気がする。
「イギリスへ行ってたんじゃないの
」
やはりトリシアが講義した。
「・・・ああ・・・その後にアメリカに行ったんだ
」
トリシアが俺をにらみつけた。
「アメリカに行った・・・という連絡もくれなかったのね
私の父母が向こうにいたのに
」
俺は、そろそろイライラしてきて冷めた目でトリシアを見た。
「御前の親なんかに誰が会うかよ
俺達はもう終わってんだからさ、ほっといてくんね
関係ないだろ
」
俺の冷ややかな目にトリシアが泣き出した。
「すまんな、ベン。御前にこんなところを見せるつもりは無かったんだけどな
」
俺はくしゃくしゃっとベンの髪を掴んで言った。ベンは、虚ろな目をしてトリシアの容態を見ている。
「ベン・・・俺とトリシアが離婚した原因を知ってるか・・・
」
俺が聞くと、ベンは首を振った。トリシアがそのとたん、髪を振り乱して叫んだ。
「やめて!言わないで!」
俺は、肩を竦めて頷いた。
「分かった。ベン、また会いたかったら会おう。だけど、とてもじゃないけど会いたくないだろ、俺なんか。それでいいんだよ、俺は此処にふさわしくないからな
」
俺は、そういうと家を立ち去った。本当は、ただの強がりだった。だが、幼いのに病気に身体を侵された息子を見てるとカッコもつけてみたくなる。