題目 フェルマーの最終定理
著者 サイモン・シン
フェルマーの最終定理の歴史を書いたノンフィクションです。360年ほど前にピエール・ド・フェルマーが書き残したメモから物語が始まります。予想は実に簡単なもので
xn + yn = zn となる 0 でない自然数 (x, y, z) の組み合わせがない
という予想だった。フェルマーのメモには「私はこの問題のすばらしい証明を発見したが、紙に余白がないため省略させてもらう」というわけのわからないことを書いた。このメモが書かれてから360年間、誰もこの実に美しく簡潔な問題を証明することができなかった。1993年になり、イギリス人のアンドリュー・ワイルズが証明を提出したが、証明の審査を進めるにつれて、彼の証明には穴があることが発覚した。それから、2年間ほどの歳月をかけ彼はようやくこの欠陥を修復し、この世界一難しいといわれた予想の証明に終止符を打った。
本の概要はこんなとこだが、実はこの証明には2人の日本人の数学者が大きく関わっている。志村氏と谷山氏である。彼らはこの証明を成立させるための根本的な予想を立てたのである。この本を執筆したのはアメリカの記者である。にもかかわらず、大きく日本人の功績を大きくたたえている。私の偏見であるかもしれないが、歴史的な科学技術の発展では東洋人よりも西洋人の功績が大きく掲げられ、高く評価される傾向がある。歴史の教科書を見ればわかるだろう。しかし、その舞台裏では東洋人の活躍がある場合が多々ある。この本が出版されベストセラーになるまではほとんどの人がこんな歴史的な証明に日本人が貢献していたなんて知らなかっただろう。最近は国際交流が増えたが、もっと我々は自国の科学技術にも注目していくべきであろう。
最後に、フェルマーの書き残したメモに疑問を抱いた方もいるだろう。「彼は本当に証明を持っていたか?」ということに。360年も前には、現在のような高度な計算テクニックはなかったはずである。これには、二通りの説がある。一つは、フェルマーは証明を持っていたが、悲惨なことに間違いであった。もう一つは、彼は当時の限られた知識から正しい証明を導き出した。後者を信じるものは現在も少なくなく、当時の知られていた定理だけで、再証明する数学者も多いらしい。