前回の投稿の仕切り直しです。
過給器のインペラ先端速度から火星23型と26型の全開高度と公称馬力を計算してみました。
23型と26型は両方とも吸気圧が+300mmHgなので、全開高度は過給器のインペラ先端速度によって決まると考えられます。インペラ直径が違うと同じ速度でも過給器の効率が変わるかも知れませんが、それは無視します。
火星23型と26型の過給器インペラ先端速度は以下のようになります。エンジンの回転数は2500rpmです。
直径 ギヤ比 先端速度
火星23型
一速 320mm 7.00 293.2m/s
二速 320mm 9.12 382.0m/s
火星26型
一速 310mm 7.70 312.5m/s
二速 310mm 10.1 409.8m/s
インペラ先端速度が速いほど全開高度は高くなります。
グラフの赤い太線は火星23型、青い太線は火星26型、灰色はインペラ先端速度毎の馬力曲線です。
Case-1
三菱の火星23型の資料から、地上馬力(1530ps/1310ps)と全開高度(1300m/4150m)を基準にして作成しました。インペラ先端速度は225〜575m/s、ピッチは25m/sです。
公称馬力でなく地上馬力を使うのは、地上馬力の方が現実に近いと思われるからです。
23型一速(三菱) 1300 1600 1530
〃 (計算) 1300 1575 1530 (-25ps)
23型二速(三菱) 4150 1520 1310
〃 (計算) 4150 1445 1310 (-75ps)
26型一速(三菱) 2500 1590 (-635m、-40ps)
〃 (海軍) 2800 1510 (-935m、+40ps)
〃 (計算) 1865 1550
26型二速(三菱) 6800 1400 (-1640m、-10ps)
〃 (海軍) 7200 1310 (-2075m、+80ps)
〃 (計算) 5160 1390
Case-2
海軍の火星23型の公表値から、公称馬力(1575/1410ps)と全開高度(1800m/4800m)を基準にして作成しました。インペラ先端速度は225〜550m/s、ピッチは25m/sです。
全開高度 公称馬力
23型一速(海軍) 1800 1575
〃 (計算) 1800 1575
23型二速(海軍) 4800 1410
〃 (計算) 4800 1410
26型一速(三菱) 2500 1590 (-95m、-45ps)
〃 (海軍) 2800 1510 (-395m、+35ps)
〃 (計算) 2405 1545
26型二速(三菱) 6800 1400 (-975m、-60ps)
〃 (海軍) 7200 1310 (-1375m、+30ps)
〃 (計算) 5825 1340
Case-3
三菱の火星26型の公表値から、公称馬力(1590ps/1400ps)と全開高度(2500m/8800m)を基準にして作成しました。インペラ先端速度は225〜500m/s、ピッチは25m/sです。
全開高度 公称馬力
23型一速(三菱) 1300 1600 (+515m、+20ps)
〃 (海軍) 1800 1575 (+15m、+45ps)
〃 (計算) 1815 1620
23型二速(三菱) 4150 1520 (+1280m、-55ps)
〃 (海軍) 4800 1410 (+630m、+55ps)
〃 (計算) 5430 1465
26型一速(三菱) 2500 1590
〃 (計算) 2500 1590
26型二速(三菱) 6800 1400
〃 (計算) 6800 1400
Case-4
海軍の火星26型の公表値から、公称馬力(1510/1310ps)と全開高度(2800m/7200m)を基準にして作成しました。インペラ先端速度は225〜500m/s、ピッチは25m/sです。
全開高度 公称馬力
23型一速(三菱) 1300 1600 (+715m、-60ps)
〃 (海軍) 1800 1575 (+285m、-35ps)
〃 (計算) 2085 1540
23型二速(三菱) 4150 1520 (+1665m、-145ps)
〃 (海軍) 4800 1410 (+1015m、-35ps)
〃 (計算) 5815 1375
26型一速(海軍) 2800 1510
〃 (計算) 2800 1510
26型二速(海軍) 7200 1310
〃 (計算) 7200 1310
いずれのケースでも二速全開高度は計算値600m以上の差があります。火星23型と26型の違いが過給器だけだとしたら全開高度はインペラの先端速度だけで決まるはずですが、納得できる結果は得られませんでした。
直径が違えば同じ先端速度でも遠心力は違うので、インペラ直径が違うものを比べるのは無理があったのかも知れません。